雙葉中学は女子の御三家のひとつです。「頭のよいお嬢様学校」のイメージで知られ、医学部を目指す生徒が多くいます。この記事では雙葉中学の出題傾向や科目別の勉強法を紹介します。
そもそも雙葉中学ってどんな学校?
雙葉中学は千代田区にあります。幼稚園から高校まであるカトリックの女子校で、17世紀に創設された修道会『幼き家イエス会』を設立母体としています。
雙葉中学は難関校への進学率が高く、御三家のひとつに挙げられている学校です。2023年度は東大に13人(内現役12人)が進学しています。私立医大の進学率も高いです。医者の家庭の子供が通っている割合が高めなため、医学部の選択肢は定番です。
雙葉中学は、一般的にお嬢様学校のイメージを持たれがちです。実際、小学校から雙葉に通っている子供たちは、経済的に豊かな家庭が少なくありません。なお、中学受験組は小学校とは事情が異なり、もっと広い層から集まります。
教育では外国語を重視する方針で知られています。雙葉中学で学ぶ外国語は英語だけではありません。中学3年生になると、フランス語も学びます。カトリックの学校だけあって、海外を視野に入れた教育を行っているのです。
雙葉中学の入試概要
雙葉中学の入試概要について見ていきましょう。
2023年度の入試
2023年度の入試を見ると、インターネット出願は1月10日から17日まで、書類の場合は1月11日から19日までの受付でした。
雙葉中学の募集人数は例年百人です。試験は2023年2月1日に実施されました。国語・算数・理科・社会の四科目の試験および本人面接です。筆記試験後に昼食をはさんで面接なので、お弁当持参となります。なお、入試当日、保護者の迎えは必須とされています。
合格発表は試験の翌日である2月2日にインターネットで行われました。入学金の受付は2月2日8時から2月3日13時まで、書類提出は本校受付で2月2日9時~12時、2月3日9時~15時です。とにかくスケジュールがタイトなので、遅れることがないように動かなければなりません。
2023年度の費用
受験料は25,000円、入学金は240,000円でした。
雙葉中学における国語・算数・理科・社会の出題傾向
雙葉中学における四科目の出題傾向を紹介します。
国語の出題傾向
100点満点の配点で試験時間は50分です。雙葉中学の出題形式は年ごとに違っています。とりわけ、国語に関して出題傾向を指摘するのは難しいです。大問の数も一定ではありませんし、物語文、論説文、随筆文など扱う文章のジャンルもそのときによって異なります。おそらく今後もいろんなパターンが想定されるでしょう。
読解文の字数は他校より少なめなことが多く、ここ二年は4500字程度です。ただ、比較的少なめといっても、速読する必要性のある字数なので、読むことに慣れておかなければなりません。
雙葉中学の国語の特徴として、長い記述問題が出題されます。A3用紙に説明をびっしり書かなければなりません。出ない年もあったので、毎年出るとは言い切れませんが、対策はしておいたほうがよいでしょう。記述以外にも選択問題や空欄補充などさまざまな形式の問題が出題されます。
算数の出題傾向
100点満点の配点で試験時間は50分です。難易度自体はそこまで高くありません。前半が易しく、後半で難しくなっていくため、その点では比較的時間配分を考えやすいでしょう。ただし、手間のかかる計算が多く、思いがけずタイムロスしてしまうので、注意しなければなりません。
出題傾向は比較的わかりやすいです。「速さ」「図形(多角形や扇形)」「周期性・規則性」「和・差・比の文章題」などが例年出題されています。出題される分野がかなり絞られるので、対策が立てやすいです。
問題の傾向もはっきりしています。たとえば、図形の問題は比を出す学校が多いですが、雙葉中学の場合は、あまり比を使いません。
理科の出題傾向
50点満点の配点で30分です。大問四問で構成されていて、読解力を要求する問題となっています。問題文が長く、意図を読み取れなければ解けません。おまけに記述問題も多いので、国語力が必要となってきます。思考力を問う問題が多い一方で、標準的な知識問題も出ます。
実験の問題は必ず出る上、記述と絡めた出題になるので、実験についてひと通り説明できるようにしておきましょう。また、テキストのグラフや図表などをチェックしてください。
生物・地学・化学・物理の各分野から満遍なく出題されますが、力学の問題はさほど出ません。
社会の出題傾向
50点満点の配点で30分です。大問3問で構成されていて、各分野から出題されます。横断的な出題をするので、分野ごとにバラバラに覚えていると解けません。
雙葉中学の社会は選択問題のややこしさで知られています。「正しいものをひとつ選べ」といった単純な出題ではなく、答えが複数になる問題が多く、失点しやすい形式になっています。
社会の合格ラインは非公表ですが、合格採点得点率を見ると七割から七割五分はとっておきたいところです。社会は各分野から出題されますが、とりわけ地理の統計資料や地図は必ず出るため押さえておきましょう。文章と地図、資料をすべて読み込めてこそ解ける問題に仕上がっています。
- 手間がかかるタイプの問題が多い
- いかに手間のかかる問題を素早く処理出来るかが重要
雙葉中学に合格したい。どんな勉強が効果的?
雙葉中学に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
語彙力が必要
雙葉中学の問題を解くためには、ある程度の語彙力がないと難しいです。問題集を解く際にわからない言葉は調べて、その場で覚えるようにしましょう。語彙力は、日頃から読書習慣が身についている子供が有利です。低学年のうちから本に触れる機会を増やしておくことをおすすめします。読書が苦手な子供の場合は、塾のまとめ教材や語彙力のテキストを購入し、覚えさせます。
読解力と書く力を強化しよう
まずは速読を身につけましょう。早い時期から、できるだけたくさんの文章を読み込むようにしておきたいものです。雙葉中学の受験者は国語が得意な子供が多くいます。それは雙葉中学の出題が国語の実力をきっちり問うものだからです。字数制限のない記述問題が多く、書く力を問われます。記述対策に力を入れておきましょう。
要約が大切
雙葉中学の記述問題は要約や言い替えが多く出ます。そのため、常日頃から要約の練習をしておきましょう。テキストの問題文は必ず要約して、塾や家庭教師の先生にチェックしてもらってください。要約といっても、ただコンパクトにまとめるのではありません。過不足なく要点をまとめられるよう意識しましょう。
キリスト教関連の文章が出題されることも
カトリックの学校ということで、問題文がキリスト教関連だった年もあります。キリスト教について知識の下地があるとスムーズに解けるでしょう。
- 語彙力を身につけるために低学年のうちから本に触れる習慣を付ける
- 過不足なく要点をまとめる練習をしておく
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算に手間がかかる
雙葉中学の算数は、面倒くさい計算が多いことで知られています。還元算あるいは小数や分数の四則計算は頻出です。長引く計算も多いので、いかにケアレスミスをせず最後まで解ききるかが問われます。計算慣れしておきましょう。
円周率の計算はある程度覚えよう
円周率の計算も雙葉の定番です。よく出る計算のパターンはあらかじめ丸暗記しておいたほうがスムーズにいきます。
出題単元を掘り下げて
雙葉中学の算数は出題単元が限定的であるため、対策を立てやすいことで知られています。「速さ」「図形(多角形や扇形)」「周期性・規則性」「和・差・比の文章題」の問題をしっかりとやり込んで、スムーズに解けるように仕上げておきましょう。
計算と同じで腰を据えて臨まないと解けない問題が多いです。難易度自体が高いわけではなく、ひとつひとつのプロセスを経て答えにたどり着くタイプの問題で根気が要ります。その代表例が「周期性・規則性」でしょう。書き出して整理しながら解かないと混乱します。作業量が多いため焦りますが、雙葉中学の問題は、時間と手間のかかる問題がメインだと割り切って、過去問をやり込んでください。どんな問題が出ているのかまずは把握するところから始めましょう。
諦めない姿勢で部分点を狙って
雙葉中学は途中式に部分点がつくタイプの形式です。そのため、解ききれなくても途中まで頑張って式を書きましょう。自分がどういう考え方をしていたか、アピールするつもりで取り組むのがよいでしょう。
- 過去問などでややこしくて時間のかかる問題に慣れておく
- 途中式に部分点がつくので諦めない姿勢が大事
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
導入文を読み込もう
雙葉中学の理科は導入文が長いため、文章を読むのが苦手だと、問題がなにを問いかけているのか見落としてしまうかもしれません。ヒントを見落とさないよう読みましょう。問題の難易度自体は高くないので、落ち着いて取り組めば大丈夫です。過去問を解き慣れておいてください。
実験のある単元をやり込もう
理科は実験のある単元をやり込むようにしましょう。実験に関する記述問題が多いので、特に実験方法は文章で説明できるようにしておいてください。
グラフの問題は説明文に注目
雙葉中学の理科はグラフを用いた問題もよく出ます。グラフが出てくる単元では、グラフの読み方を確認しておきましょう。グラフには説明が添えられている問題が多く、読めば解けるようになっています。行き詰まったら、必ず文章とグラフの両方をチェックする習慣をつけましょう。
計算問題は少ない
難関校の理科では計算問題が定番ですが、雙葉中学において理科の計算問題は比較的少なめです。そのため、雙葉中学ならではの頻出問題を中心に対策しましょう。
周りに関心を持とう
雙葉中学の理科では環境問題をはじめ、自分たちを取り巻く時事問題について出題されることがあります。まず、基本的な事実を知ることから始め、理科の切り口で問題を考えてみましょう。
- 導入文が長いため文章を読む力が必要になる
- 「実験方法」の問題は必須でやり込んでおく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
基本問題は確実に
社会では基本的な知識を問う問題も出ます。点が取りやすい問題なので、失点しないようにしましょう。すべての分野から出題されるため、とりこぼしのないよう知識を固めてください。過去問をやり込んで慣れておきましょう。
時事問題が増えている
時事問題は単独の大問では出題されませんが、他の分野と絡めて出題されます。日頃からニュースを追いかけて、用語をきっちり理解しておきましょう。
統計資料や数値の問題も
雙葉中学では統計資料や数値を見て答える問題が出題されます。テキストに載っている基本的なデータを頭に入れた上で、統計資料や数値の見方を覚えるようにしましょう。地形図や地図記号も確実に覚えておかなければなりません。
合格ラインに到達するための時間配分を
社会で合格ラインに到達するためには、時間配分に気をつけなければなりません。一問あたりにかけられる時間がかなり短く、記述問題以外は一問三十秒程度で進める必要があります。そのためには知識を確実に身につけて、迷わず答えを書かなければなりません。
また、解けない問題で時間をロスしていると、他の問題まで手が回らなくなるので見切りをつけるタイミングが問われます。無理だと思ったら、最初から飛ばしてしまうのがよいでしょう。過去問を解いてみて、どの辺りが捨て問になるのかを確認しておきましょう。
- 過去問をやり込んで全ての分野から出題されることに慣れておく
- 一問一問を短い時間で解き進める癖を付ける
雙葉中学に合格するためには粘り強さが必要
雙葉中学の問題は、手間がかかるタイプが多いです。根気強く解かないと、答えにたどり着けません。計算ひとつとっても円周率、還元算、小数や分数の計算など、ややこしくて時間のかかる問題がたくさんあります。限られた試験時間の中で、いかに手間のかかる問題を素早く処理して、正答を導き出すかが問われています。
したがって受験本番は焦りとの闘いになります。焦らないためには、事前にイメージトレーニングをしておきましょう。過去問を解く際にはタイマーを必ずかけてください。問題文をしっかり読めば解ける問題が大半です。時間がない中で細部まで読み込んで解く力が求められます。
理科や社会では文章だけではなく、グラフや資料を読み解く力も必要です。各単元に取り組む際に、テキストに載っている代表的なものは、確実に覚えていきましょう。