中学受験塾業界をリードする存在であるサピックスは、御三家における高い合格率で知られています。この記事では、超難関校を目指す家庭に、サピックスの中学受験事情を紹介します。
サピックスにおける御三家の合格率って?
サピックスにおける御三家の合格率はそんなにも高いのでしょうか。
サピックスは御三家の合格者の占有率が高い
サピックスは、御三家合格者の占有率が高いことで知られています。2022年度の開成の合格者はサピックス生が68%を占めていました。なお、麻布が52%、武蔵が32%です。女子のトップである桜蔭は66%。その高い実績は明らかだといえるでしょう。
他塾の合格者はどうなの?
他塾では御三家にどの程度合格者を出しているのでしょうか。大手中学受験塾の中で、サピックスに次いで難関校に強いのは早稲田アカデミーです。
早稲田アカデミーからの合格者の占有率は開成27%、麻布23%、武蔵35%、桜蔭23%となっています。つまり、武蔵だけは早稲田アカデミーの生徒が多いですが、他はサピックスに比べて半分以下の合格者数だという事実がわかります。
サピックスの占有率の高さはまさに中学受験業界をリードするものと言えるでしょう。
サピックスから御三家に入れる子供と実質倍率
御三家の合格者において、サピックスの占有率が抜きんでて高いのは間違いありません。しかし、当然ながらサピックスから御三家を受けて、不合格になる子供もいます。サピックスから御三家を受けた子供全体で見たとき、合格する子供の割合はどのぐらいなのでしょうか。
2022年の開成では開成を受けたサピックス生の約56%が合格しています。2022年度の開成は受験者が1,050人、合格者が416人で、実質倍率は2.5倍でした。つまり、2.5人に一人は落ちる計算です。そのため、半数以上が合格したサピックス生の56%という数字がいかにすごいかがよくわかります。
サピックスから御三家を目指す。いつから入塾?
サピックスから御三家を目指すのであれば、入塾は早ければ早いほうがよいのでしょうか。
首都圏の中学受験は小学三年生の二月からが定番
首都圏の子供たちは、中学受験塾に小学三年生の二月から入塾するケースが多いです。これは新小学四年生コースが、小学三年生の二月から開始であるためです。
しかし、一方で低学年のうちから子供を入塾させる家庭も増えてきています。中学受験をする家庭の増加に伴い、入塾させるだけでも大変なので、早め早めに対策を打つためです。
御三家を目指すなら低学年から?
御三家を目指すなら早いうちから入塾したほうがよいかというと、必ずしもそういうわけではありません。サピックスのカリキュラムは四年生で下地を作り、五年生で出題範囲をカバーし、六年生で復習と志望校に特化した対策をするというものです。
そのため、四年生から着実に勉強を進めれば、志望校合格が勝ち取れるようになっています。
ただし、そうはいっても、サピックスメソッドとの相性や理解力、学力の伸びるタイミングには個人差がありますし、早めに対策を始めるのもひとつの方法です。
五年生からでは遅い?
五年生からよりは四年生からの入塾をおすすめします。サピックスでは、五年生の間に中学受験の出題範囲をすべて終えてしまいます。
四年生からの積み重ねがない中、一年ですべてを理解するのはなかなかハードルが高いです。ただ一方で、五年生以降に入塾して御三家に受かるケースもあるので、一概には言えません。
四谷大塚の全国統一小学生テストを受けるなどして、あらかじめ子供の学力や立ち位置を把握しておくとよいでしょう。無料のテストなので、気楽に受けられます。
なお、サピックスの入室テストは、五年生になると転塾組の受験も多く難易度が上がります。科目は四年生までは国語と算数の二科目、五年生以降は四科目です。
サピックスで御三家を目指すためのクラスは?
サピックスで御三家を目指すためにはどうすればよいのでしょうか。
上位クラスであるαクラスに入ろう
サピックスのクラス分けでは、αクラスが上位クラスの位置づけです。αクラスはα1、α2といったように更に細かく学力レベルで分けられています。
α1は全国でもトップクラスの学力を誇る子供たちです。天才もいれば努力型もいて、より上を目指して競い合っています。
αクラスの下はアルファベットでコース分けされていて、Aが一番下のクラスです。基本的に御三家に行きたければαクラスに入り、αクラスの中でも上位を狙う必要があります。
下位クラスから御三家は狙える?
サピックスに通っていた人の体験談の中で、下位クラスからスタートして御三家合格にたどり着いたという話も少なからずあります。
特に学年が低いうちほど、テストで実力を発揮するのは難しいです。テスト問題を理解する前に、テストのペース配分や、答え方がわからず失点してしまう子供はたくさんいます。
そのため、ある程度勉強させて入室したのに、思った以上に下位クラスからのスタートでびっくりという事態も十分起こり得るのです。二回目以降のテストでもなかなかテスト慣れできない子供もいます。入塾したての頃のクラスはあまり気にせず、目標に向かって勉強を進めましょう。
下位クラスで停滞してしまった場合は
サピックスは難関校に強い塾です。そのため、上位クラスに通うのと下位クラスに通うのでは、得られる学力はまるで異なります。上位クラスに相応のタイミングで移って、難関校に向けた教育を受けなければなりません。クラスが上がるのが遅れれば、それだけ難関校対策を進める時間が減ってしまいます。
サピックスの下位クラスで停滞してしまっているなら、サピックスではなく他塾で学力アップを狙うのでもよいでしょう。サピックスはレベルが高いので、ある程度の成績でも下位クラスになってしまいます。そこで奮起して、「頑張って上がっていこう」と思えればよいですが、逆に自信を喪失してしまうかもしれません。そうした場合は、他塾に移ることをおすすめします。塾内での立ち位置が変わるだけでも、自信をもって勉強に臨める可能性が高いためです。
サピックスは難関校に強い塾であるため、上位クラスにいれば得られるものは多くあります。逆に言えば、下位クラスならサピックス以外の塾に移る選択肢も有効です。
サピックスの膨大な学習をこなす力を
サピックスで学習した内容をきっちりと復習し、学力を固めていくのは簡単なことではありません。サピックスはよく知られているとおり、学習量が膨大な塾であるからです。たいていの子供はサピックスの学習量に圧倒され、「ついていけない」と慌てます。
しかし、御三家狙いの子供たちはこの膨大な量を一日一日着実にこなしていきます。ここで言う「こなす」は、「ちゃんと理解して自力で解けるレベルにまで仕上げる」という意味です。
量が多いと、通り一遍やるのが精いっぱいで、その都度「理解する」ところまで仕上げていくのは大変なことです。しかし、その大変なことをやり遂げられる子供こそが合格を勝ち取ります。一日に勉強できる時間も限られていますから、いかに素早く机に向かえるか、集中して学習できるかが問われるのです。
宿題は、ただ片付けるのではなく、理解して解く
復習は、自力で解けるまでやり直す
このふたつをきちんと実践できる子供が伸びていきます。
- αクラスに入り、その中でも上位を狙う必要がある。
- 入塾したての頃のクラスはあまり気にする必要はない。
- 下位クラスから抜け出せない場合は転塾を検討する。
難関校SS(サンデーサピックス)特訓で御三家対策
サピックスでは六年生後半になると、SS(サンデーサピックス)が始まります。
ふたつの講座で受験準備
志望校対策に特化した志望校別講座と苦手科目の克服や実力アップのための単科講座(2講座選択)があります。どちらか片方のみを受講することはできません。
サンデーサピックス(志望校別講座)
サンデーサピックス志望校別講座では、御三家をはじめ難関校に特化した対策を行います。
受験本番に実力を発揮できるよう五か月にわたる講座です。全18回で、講座14回 とテスト4回という構成になっています。9月から開始で、1月まで日曜日に実施します。
志望校別講座
男子校 | 開成・麻布・武蔵・駒場東邦・栄光学園・慶應普通部・早稲田・早大学院・聖光学院・海城・灘・甲陽学院 など |
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女子校 | 桜蔭・女子学院・雙葉・フェリス・豊島岡・神戸女学院 など |
共学校 | 慶應中等部・慶應湘南藤沢・早稲田実業・渋谷幕張 など |
サンデーサピックス(単科講座)
サンデーサピックスの単科講座は志望校別講座と同様、9月から1月にかけて行われます。苦手科目の克服を目指す単科講座は以下のとおりです。
算数思考力講座
大型問題の実戦演習をメインに据えています。算数の基礎力が盤石である生徒に向けて、筑駒・灘・開成などの大型問題の攻略を指導する講座です。
算数解法力講座
基礎から応用まで、幅広く得点力を強化するための講座です。
国語記述表現力講座
長文記述問題をメインに据えた講座です。基本的な読解力が定着化している生徒の記述力を養成します。
国語読解力講座
実戦的な読解力や論理的な解法を学び、得点につなげます。知識力と記述力の両方を強化する講座です。
理科知識論理力講座
理科の基礎力を盤石にし、演習を通して情報処理能力を鍛え、応用力を身に付ける講座です。情報処理能力がアップすれば、問題を解いているうちに時間切れといった現象を防げます。
社会知識論理力講座
理科知識論力講座と同様、基礎力を盤石にし、演習を通して情報処理能力を鍛えます。応用力を身に付けて得点力アップを図る講座です。問題を解いているうちに時間切れになりやすかった子供に向いています。
サピックスから御三家。親はなにをすればよい?
サピックスから御三家を目指す上で、親はなにをすればよいのでしょうか。
家庭学習を徹底的にサポート
サピックスは自習室もなく、家庭で宿題と復習をしていかなければならない塾です。授業や教材、カリキュラムのクオリティに絶対の自信があればこそ、シンプルなルーティンで回しています。このシンプルなルーティンを軌道に乗せるためには親のサポートが欠かせません。
子供だけで主体的に勉強できるようになったほうがよいのはもちろんですが、まだ小学生なのでなかなかうまく軌道に乗る子供はいません。そのため、やり直しをさせる問題を親が取りまとめたり、おぼつかない単元を解きなおさせたりする必要があります。
子供はたくさん勉強する分、たくさんミスをしますし、わからない問題は次々と出てきます。そんな中で、どこをどう復習していくべきかを取りまとめるのは簡単ではありません。親の力量が問われます。
親にサポートする時間がない!
御三家に合格するためにはサピックスの中でも上位クラスにいる必要があります。それだけの成績をとる子供には親が付きっ切りでサポートをするケースが多いです。しかし、共働きだったり家庭に事情があったりして、全面的なサポートは難しいという家庭は多いでしょう。
親がサポートをする時間がない場合は、塾の補習に家庭教師サービスを活用することをおすすめします。家庭教師サービスではサピックスの補習に特化したコースを設けているところも多いためです。たとえば、家庭教師のノーバスの「サピックス併用コース」がその一例です。
サピックス以外の教材もやらせたほうがよい?
子供のためにサピックス以外の教材を探してくる保護者もいますが、基本的に他の教材に手を出す必要はありません。教材を増やすと、それだけサピックスの教材をやり込めなくなります。
まずは手持ちの教材をきちんと仕上げることを最優先しましょう。
- 親の力量が問われる
問題や単元を親がしっかりと把握して取りまとめる必要がある - サポート時間を確保する
サポートする時間がない場合は家庭教師サービスの活用も検討する - サピックス以外の教材はやらせない
教材量を増やすのはやり込む時間が減ってしまい逆効果になる
サピックスから御三家合格を目指そう
御三家レベルの難関校で合格を目指したいのであれば、まず選ぶべき塾はサピックスです。
サピックス生の難関校の合格者占有率は高く、間違いのない選択だと言えます。まずは子供の学習をサポートしてルーティンを確立しましょう。
ただし、サピックスの宿題や復習量は多く、簡単にうまくはいきません。親が子供のサポートについて全面的に見てあげる必要があります。それが難しい場合は、家庭教師サービスで塾と併用できるコースを選ぶとよいでしょう。
サピックスでは六年生の後半から、サンデーサピックスと呼ばれる特訓が開始されます。サンデーサピックスには志望校講座と単科講座があり、志望校に合格するための実力を固めたり、弱点克服を目指したりします。
サピックスならではのやり方を身に付けて、そのメソッドを活用し志望校合格を勝ち取りましょう。