子供の家庭学習は親にとって悩みの種です。土日はもちろん、休校対応や長期休暇の期間に家庭学習をどのように進めていくべきか、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、効果的な家庭学習の仕方について紹介します。
家庭学習用の教材はどうやって選べばよいのか
家庭学習で使う教材は、子供のレベルに合わせて選ぶことが大切です。基本がわかっていないのであれば、いきなり教材を追加するのは逆効果。学校で使っている教科書と問題集をやり込んでから、新しい教材を取り入れるようにしましょう。学校の教科書や問題集があらかた理解できるようになった段階で、子供に合った教材を購入してください。
ただ、教材も数が多く、どの教材を買ったらよいのかなかなか判断がつかないかもしれません。そんなときは、書店に相談するのもひとつの方法。四月・五月は書店に教材の問い合わせが多いため、ちゃんとした書店であればスタッフ間の周知も徹底しています。
周知されていない場合、一番頼りになるのはやはり売り場担当者です。多くの書店では、売り場ごとに担当が細かく分かれています。文芸書売り場には文芸書の担当者、実用書売り場には実用書の担当者、そして学習参考書売り場には学習参考書の担当者といった具合です。
書店の従業員はアルバイトやパートといった非正規雇用がほとんど。そのため、必ず担当者が店にいるわけではありませんが、相談すれば売れ筋やおすすめ商品をひと通り説明してくれます。なお、発注業務があるため、売り場担当者は平日の日中に勤務していることが大半です。「学習参考書に詳しい店員さんはいますか」と尋ねてみてください。
また、近隣に学校が多い書店は、学習参考書の売り場規模も大きい傾向にあります。一度立ち寄ってみるとよいでしょう。
子供の教材をどう進めるか親子で計画を立てよう
満を持して教材を買ってはきたものの、子供が一向に手をつけてくれないなんてケースも中にはあります。宝の持ち腐れになってしまっては大変ですので、すぐ計画を立てましょう。
小学生までは親子で学習計画を作成しよう
小学生までは親のアドバイスが必要です。小学五・六年生の高学年であれば、まずは子供自身に計画をざっくりと考えてもらいましょう。子供の案をたたき台にしてブラッシュアップしていきます。
四年生以下であれば、子供と相談しながら親子で計画内容を決めていきましょう。このときに大切なのが親だけで先走って計画を立てないこと。子供にとって、「親に押し付けられた計画」はわずらわしいものです。
そもそも親が子供に勉強を教えるのは困難がつきまといます。親の側に子供に勉強を教えられるだけの学力や指導力があったとしても、スムーズにはいきません。親子だと、「教える・教わる」の割り切った関係性を構築するのが難しいのです。親子ともについ感情的になり、親子喧嘩に発展する傾向にあります。
しかし、休校時や長期休みには、「親が舵取りしなければどうにもならない!」という場面が多々あるでしょう。子供にイライラしながら、対処療法的に勉強を教えても効果はあまり見込めません。親がすべきなのは、子供が自主的に取り組む環境を作ることです。そのために一貫性ある計画が重要となります。
学習計画は具体性をもって立てよう
計画の立て方としては、まず学習する上での目標を決めるところから着手します。「いつまでにどこまで進める」でもよいですし、「次のテストで目標点をとる」でもよいです。目標を決めたら、そのために何をすればよいのかを逆算してみてください。
目標はなるべく具体的に決めます。たとえば、週あたりの目標であれば「この単元までの応用問題を全問自力で解けるよう何周かやり込む」などです。大切なのは自力で解けるレベルまで仕上げること。自力で解けるようになれば点数につながりますし、子供も自信がつき、達成感が得られます。
「〇ページまで解く」ではなく、「自力で解けるまで周回する」やり方が重要です。一週間の中で新しい問題を解く日と、復習して自力で解けるレベルに仕上げる日を設定しましょう。そうすれば確実に自力で解ける問題数が増えていきます。
最近よく、教育業界では「スモールステップ方式」が謳われます。短期的なスパンで成功体験を重ねて、子供に自信を持たせるやり方です。子供の学習計画においてもこの方式は効果を発揮します。一週間単位で達成感を得られるように計画を組みましょう。
なお、勉強する時間帯は固定化をおすすめします。できれば午前中から始めたほうが、就寝時間に影響が出づらく健康的です。理想は、朝ちゃんと早く起き、勉強し遊びもしっかり、三食きちんととって夜は早めに眠る生活。学校に行かない間に生活習慣が乱れると、学習意欲も薄れがちです。規則正しい生活を心がけ、子供が意欲的に勉強をこなせるよう促しましょう。
- (四年生以下)子供と相談しながら親子で計画内容を決めていく
- (小学五・六年生)子供の案をたたき台にして親がアドバイスをする
- 学習計画は具体的な目標を決めてから今何をすべきかを逆算する
- スモールステップ方式で自信を持たせる
- 勉強する時間帯を固定化する
部屋の片づけで集中力アップ。勉強をするための環境を整えよう
勉強をするためには学習環境を整えることも大切です。部屋が散らかっていると集中力が続かないですからまずはざっと片付けましょう。加えて、ゲームやスマートフォンといった勉強中につい手にとってしまいがちなものを部屋の外に出します。
自室で集中するのが難しい場合は、リビング学習がよいでしょう。親が家にいる間は、子供の勉強する様子を見られるため安心です。つい気を抜いてごろごろしがちな子供にとっては、親の存在は気の抜けないよいストッパーになります。
筆記用具やノートも準備しておき、ノートの表紙には学習参考書のタイトルと開始の日付を書いておくとよいでしょう。年度も明記しておいてください。ルーズリーフとノートでは小学生のうちはノートをおすすめします。
ルーズリーフはあとからページを足すことができ、臨機応変な活用が可能という点で魅力的です。
しかし、小学生にルーズリーフの管理を任せると九割がた失敗します。ルーズリーフを使わせるなら、整理整頓が得意で、確実に使いこなせそうな子供だけにしましょう。
なお、問題集に書き込んで勉強するのは避けてください。問題集は基本的に何度も解き直すものです。書き込んでしまうと、やり直そうにも答えが見えてしまいます。
- 不要な物は片付けよう
- スマホ・ゲームは部屋の外に出そう
- リビング学習でサボリ癖をストップする
- 学習参考書のタイトルと開始の日付を書いて計画を管理する
家庭学習の時間はどのぐらい? 勉強は詰め込みだけではうまくいかない
「どのぐらいの時間、家庭学習をすれば正解か」に答えはありません。たとえば小学生なら学年×10分と言われます。しかし、これは平均的な理解力の子供が集中していればの話です。子供によってはもっと学習に時間をかけないと、理解が進まないケースもあります。更に、中学受験をする子供であれば一日あたり何時間も勉強するのが常ですし、その子供の学力や目指す目標によって、必要な学習時間は変わってくるものです。
ただひとつ言えるのは、詰め込み式に勉強だけやらせていても成績は上がりません。「勉強が大好きで、勉強がなによりの息抜きになる」という子供を除き、息抜きの時間は忘れないようにしましょう。
勉強に対してポジティブな姿勢を維持するためには、遊びと勉強を両立できる環境が必要となります。そのため、必要なのは、遊びを禁止することではなく、遊び一辺倒にならないためのルール作りです。
親が「一日何時間」と一方的に決めるのではなく、子供に「一日何時間」と提案させてください。たとえば子供が「ゲーム一日三時間!」と提案してきたとします「長すぎる」と感じたら、「目に悪くないか」「どう勉強の時間を確保するのか」など気になる点を子供に質問してみましょう。学習計画同様、子供をルール作りの段階から巻き込み、ルールを守らざるを得ないように図るとよいです。
「やる気が出ない。」子供の勉強へのやる気を引き出すための働きかけ
家庭で子供のやる気を引き出すのは難しいものです。子供を学習机に向かわせるためにはいくつかポイントがあります。以下、見ていきましょう。
「勉強しなさい!」と叱るのはNG。親の役目は子供を誘導すること
「いい加減にしなさい」「勉強しなさい」と一生懸命な親ほどつい言ってしまいがちです。確かになかなか勉強を始めない子供を見ているとイライラします。しかし、叱られたときの感情と勉強がリンクしてしまうと、「勉強」イコール「嫌なもの」となり、やる気はますます出なくなってしまうものです。
大切なのは誘導すること。子供には「まずこの一問だけ解いてみて」「五分だけやってみようか」と声をかけます。半数以上の子供は少し解いてみたあとに「次は?」と自ら続きを促してくるものです。始めるのが遅いだけで一度机に向かえば、やる子はやります。やらない子供は休憩を挟んで再度誘導してみてください。
子供が机に向かわないときは、口頭での復習を導入に
「机に向かうのはなんとなく気が重い……」という子供は多いです。チャイムが鳴るわけではないので、上手く時間のメリハリがつけられません。そんなときは、机に向かわない勉強から始めてみましょう。口頭でゲーム感覚を取り入れて問題を出します。内容は前回やったところの復習がよいでしょう。口頭なら多くの子供は抵抗なく勉強するものです。
- 叱るのではなく勉強に誘導していく
- 口頭でゲーム感覚で問題を出す
家庭学習では塾や学校と違い競争相手がいない
家庭学習では、塾や学校の勉強と違って、競争相手がいません。そんな環境下で、自分の理解度が平均と比べてどうなのかを把握するのは難しいもの。
教材にテストが用意されている場合は学習ペースに合わせてぜひ活用してください。なければテスト代わりとして使える教材をひとつ購入するとよいでしょう。
勉強してきたつもりでも実力がついていなければ点数はとれません。よくある「わかったつもり」に陥っていないかを確認できるよい方法です。
家庭学習では、子供に合った学習法を見極めよう
どの学習法が効果的かは、子供によって異なります。耳からの情報を記憶しやすい子、文章を読んで覚える子、映像で見るとすんなり理解できる子など、さまざまです。
子供にとって最適なアプローチがとれれば、子供の成績は飛躍的に向上します。長く接してきた家族だからこそ子供の特徴をつかめるもの。どういう学習法が向いているのかを見極めることが重要です。
塾や家庭教師といった教育サービスを利用している場合には、家庭学習で見極めた子供の特徴をフィードバックしておくとよいでしょう。集団授業塾では難しいかもしれませんが、家庭教師や個別指導塾では子供に最適化された指導を提供してくれるはずです。
子供に勉強を教えるのが負担なときはアウトソーシングを検討しよう
子供の学習を見るためにはまとまった時間が必要です。しかし、共働きだったりさまざまな事情があったりして、「しっかりと付き合う時間がない」という家庭がほとんどなのではないでしょうか。そもそも、学習計画のところでも触れましたが、親子の関係性の上に「教える」「教わる」関係性を構築するのは難しいものなのです。
「子供に勉強を教えるのは負担だ」と言う場合は、家庭学習を家庭教師に一任してしまうのも手でしょう。感染症による休校では、同居している家族以外との接触を避けることが推奨されるため、家庭教師を積極的に活用することに躊躇する家庭もあるかもしれません。
しかし、現在では「インターネット家庭教師」というものもあります。オンデマンドの様なビデオ教材ではなく、テレビ電話の様な形式でリアルタイムに画面越しに行う授業ですので、通常の家庭教師との違いは「同じ空間にいるか」「遠隔でやり取りするか」の違いだけです。
費用も通常の家庭教師よりも安いことが多い為、積極的に検討してみるのもよいでしょう。
また、土日や季節ごとの長期休み中の家庭学習であれば、ぜひ家庭教師を活用してみてください。長期休みに期間を区切って、集中的に授業してもらうのもよいでしょう。通う時間はかかりますが、家庭教師の代わりに個別指導塾を活用する手もあります。家庭の事情に合わせて選ぶことをおすすめします。
子供の家庭学習を上手く軌道に乗せるためにサポートを
子供の家庭学習を上手く軌道に乗せるためには、家庭でのサポートが欠かせません。教材の用意や学習スペース作り、生活リズムの確立をしてあげてください。なかなか机に向かわない子供には、「まずはこの一問だけ」「まずは五分だけ」といった声かけで机に向かうハードルを下げるところから始めましょう。
「問題集を読んでノートに書く」といったオーソドックスなスタイルで勉強をするのが苦手な子供もいます。そうした子供には、口頭での復習を導入とするのもありです。家庭学習では勉強しても、相対的な視点で自己評価がしづらいですから、タイミングを見てテスト系の教材を取り入れるとよいでしょう。
子供に合った学習法を模索すると効果的な勉強が可能です。教えるのが負担なときは、割り切ってアウトソーシングすることをおすすめします。