ゴールデンウィーク中の中学受験対策をどう進めさせたらよいかで、悩んでいる家庭も多いことでしょう。連休を通して、家庭教師や塾はどんな対応をしているのでしょうか。この記事では、受験生のゴールデンウィークの過ごし方について紹介します。
ゴールデンウィークって何日ぐらい?
社会人になると、有休を使い、土日や祝日をつなげてまとまった休みをとることも多いゴールデンウィーク。しかし、有休のない子供にとって連休は多くても五日程度、少なければ三日しかありません。それでも、前後の休みを合計すると、まとまった日数にはなります。
新学期が始まって一カ月のタイミング
ゴールデンウィークのある四月下旬から五月上旬にかけては、新学期が始まってからの生活や学習を振り返るのに最適なタイミングです。中には、進級したものの勉強が軌道に乗らなくて不安を抱いている子供もいることでしょう。学習スケジュールを立て直し、学習習慣のあり方を考えてみるとよいです。
塾や家庭教師サービスを利用している家庭では、「子供が塾や家庭教師の授業を理解できているか」を確認してあげてください。ただし、本人が「わかっている」と答えたからそれでOKという話ではありません。本人の認識の中では「理解できていること」になっていたとしても、実際には全くついていけていないケースもあります。直近のテストと照らし合わせるか問題集を解かせるかして、現状がどの程度かを本人と共有します。これはゴールデンウィークに突入する前に取り組んでおいたほうがよいです。
また、受験勉強を子供がどの程度進められているかも確認しましょう。塾の場合は、集団授業だけだと個々の得意不得意まではフォローできないため、受験対策として十分ではありません。宿題や予習復習だけではなく、自分に合った受験対策が必要です。家庭学習の仕方に問題がないかもこの機会にチェックしましょう。
家庭教師の場合は、一対一という指導形態の強みで、塾より個々の受験対策のニーズに合わせた授業をしているはずです。しかし、家庭教師サービスをどの程度利用しているかによって効果のほどは変わってきます。たとえば、授業回数が少なければやはり不足は生じるものです。ただし、家庭教師側が毎回の宿題に必要な受験対策を落とし込めていれば、宿題だけでも十分な受験勉強ができるでしょう。それでも、頼りきるのではなく、自分の不足を常に意識し、その都度家庭教師にフィードバックしていくとよいです。
ゴールデンウィーク中の生活の注意点
連休となるとつい気が緩み、夜更かしや朝寝坊をしてしまいます。しかし、生活のリズムが狂うと体調を壊しやすいですし、睡眠時間がいつもと違うせいで頭がすっきりしない状態に陥りやすいです。そうすると同じ時間勉強をしても、頭に入る内容はどうしても少なくなってしまいます。
ゴールデンウィーク中は起床時間と就寝時間を大きくは変えず、ぐっすりと寝てください。加えて、健康的な食生活を貫きましょう。勉強の合間に散歩など体を動かす習慣も大切です。集中できる環境も欠かせません。ゴールデンウィーク前もしくは初日の午前中に、部屋を最低限片づけ、机の周りには勉強に必要なもの以外はなるべく置かないようにします。
ゴールデンウィーク中の学習ってなにをどうすればよいの?
自分にとって必要な学習内容を考えてみましょう。
教育サービスを利用しているかどうかによってやることが異なる
ゴールデンウィーク中の家庭学習は、子供の必要に応じてプランを組みます。たとえば、塾や家庭教師サービスを利用している子供は、授業や宿題を学習の中心に据えてください。その上で不足があればプラスアルファを考えます。
塾や家庭教師を利用せず自力で勉強する場合、スケジューリングも家庭だけでやらなければなりません。勉強の範囲は手を広げ過ぎないほうがよいです。あえて少なめに予定を組んでおき、「もしこの内容を全部片づけられたらこれもやる」という追加プランを決めておきましょう。
そうしないと、「予定を組んだけれどまったく終わらなかった」という事態になりかねず、子供が達成感を得たり自尊心を育んだりすることができなくなります。「できた!」の積み重ねがやる気につながるのです。詰め込み過ぎは避けましょう。
学校の勉強が理解できているなら受験対策に注力
受験対策のスケジュールを立てないまま新学年を迎えてしまうと、つい前学年の調子で勉強してしまいます。塾や家庭教師による授業も、受験生である今より週当たりの回数が少なかったでしょうし、宿題の量も今ほどではなかったはずです。
どこから受験対策に手をつけてよいのかわからない場合は、実際の受験問題に軽く目を通してみましょう。現段階でどのぐらい解けそうか、合格ラインに足りているか足りていないかなどを見極めます。過去問をやり込むにはまだ早いですが、ひとつぐらいなら実際にチャレンジしてみてもよいかもしれません。
ただし、「どんなに点数が悪くても落ち込まない」気構えが必要です。志望校のレベルにもよりますが、四月五月では合格点はまずとれないでしょう。あくまで、どのレベルの問題をどれぐらい解ければ受かるのかを知るきっかけにしてください。その後、受験対策用の問題集をどうやり込んで受験当日までに間に合わせるかを考えます。
苦手単元の克服、もしくは問題数の少ない問題集を一周する
苦手な箇所がはっきりしていてなにを勉強するべきかわかっている場合は、自分に必要な問題を厳選してやり込んでいけばよいです。
しかし、なにをするべきなのかがよくわからない場合は、とりあえず受験対策用の総まとめの問題集を一周してみましょう。こうした問題集は、各単元の要点をピックアップしています。そのため、一定レベル以上の学校を望むのであれば、その一冊だけをやり込んだところで、受験に受かるだけの実力はつきません。
しかし、自分の苦手な箇所がどこかについてはわかります。つまり、ゴールデンウィーク中に今後、どこの単元を中心に復習していくべきなのかを考えられるようにするのです。ただし、一周してみたところ、「全体的に出来がイマイチ」なケースもあるでしょう。その場合は、さかのぼって全体的に復習するしかありません。ギリギリになってから焦らないよう、なるべく早めに取り掛かりましょう。
ゴールデンウィーク中の家庭教師や塾って?
家庭教師や塾は、ゴールデンウィーク中にはどんな取り組みをしているのでしょうか。以下見ていきましょう。
ゴールデンウィーク中の家庭教師派遣センター
家庭教師派遣センターの中には、「ゴールデンウィークは成績向上のチャンス!」と謳って集中的な学習を勧めるところや、「ゴールデンウィーク特訓」のプランを用意しているところがあります。
進め方は個々のニーズに応えるセンターもあれば、苦手になりやすい単元をピックアップして複数のコースを設定しているセンターもありさまざまです。なお、対面だけではなく、オンライン家庭教師サービスでもコース選択型は取り入れられています。
日ごろから家庭教師をお願いしている家庭で、ゴールデンウィーク中はさらにガッツリ特訓を受けたいという場合は、早いうちにその意向を伝えて担当の家庭教師の予定を押さえてもらいましょう。もし担当の家庭教師が無理でも、その期間だけ派遣センターが対応して代理の家庭教師を手配してくれる可能性もあります。
ゴールデンウィーク中の塾
ゴールデンウィーク中、通常どおり塾を開けるかどうかは、塾によって違います。休みになる塾に通っている場合は、「休みの間、どんな勉強をしたらよいか」についてあらかじめ先生の意見を聞いておくとよいでしょう。
逆に、ゴールデンウィークを生かした特訓授業を行っている塾も多いです。ただし、家庭教師とは異なり、あらかじめかっちりとスケジュールが組まれているため、予定の合う生徒だけが参加する傾向にあります。
個々の苦手単元に集中できるよう、コース選択型にする塾も少なくありません。とりわけ、算数において子供のつまずく箇所は重複しがちです。そのため、つまずきやすい単元だけをピックアップし、それぞれコースを用意して子供の必要性に応じて選択させるやり方をとっています。
コース選択型の場合、コースによって時間帯が異なる場合が多いです。そのため、自分の都合のよい時間帯を考えて必要なコースを選ぶこともできます。
勉強と遊び。受験生は遊びに行っちゃいけないの?
受験生にとって大事な一年とはいえ、せっかくの連休。遊びに行ってはいけないのでしょうか。
その家庭の方針によるところが大きい
中学受験を目指す小学生は勉強漬けの日々を送りがちですが、ゴールデンウィーク中だけは何日か遊びに行く家庭も少なくありません。パーッとストレスを発散して、連休後に改めて勉強に集中するというわけです。子供の成績がよい家庭はこうしたメリハリのつけ方が上手な傾向にあります。
親は子供の状況を見極めて判断を
まじめで受験に対して危機感の強い保護者ほどつい、子供に厳しく接しがちです。実際、休日のたびに「受験前なんだから遊んでいる場合じゃない。根を詰めていかないと」と子供に喝を入れる保護者はいます。
喝を入れられた子供の反応はさまざまです。「そうだよね」とすんなり納得する子供もいれば、「遊びたいのに」と落ち込んでしまう子供もいます。いわゆる「スパルタ路線」であっても、前向きに取り組める子供相手であれば、喝は一定の効果を発揮します。しかし、逆に、やる気をそいでしまうリスクもあることを知っておいたほうがよいでしょう。
子供のやる気を引き出すためにはどのぐらい引き締めて、どのぐらい緩めるかその加減の見極めが肝心です。一方的に「勉強しなさい」と要求すると、だいたい話がこじれます。子供の状況を親が見極めようとしていないからです。「親がそのつもりなら、自分はまともに勉強なんかしないぞ」と意地を張られてしまいかねません。
あらかじめ、子供がゴールデンウィークの過ごし方についてどう考えているのかヒアリングし、意見交換しておくとよいでしょう。
実際、ゴールデンウィーク中の受験生はどう過ごしていた?
以下は三人の受験生の実例です。
成績優秀なAさんはゴールデンウィークの前半を遊び、後半を勉強に当てていました。家族で過ごせる機会を大事にする家庭の方針を受けてのことです。後半は四月中に進めていた受験対策の問題集で間違えた問題、時間のかかった問題を全てやり直しました。自力で解けるようになるまで繰り返し解いたらしく、学力がアップしていました。
平均的な成績のBさんはゴールデンウィーク中、塾と家庭教師の両方を活用し、苦手だった立体図形の克服に努めました。塾でやった内容を家庭教師の先生とやり直すというサイクルが効果をあげ、休み明けには応用レベルの問題まで解けるようになっていました。
勉強嫌いのCさんはゴールデンウィーク中、自力で家庭学習をすると約束していました。しかし、いざ机に向かってもなかなか集中できません。そもそも、なにから取り掛かってよいのかがさっぱり見えてこないのです。一応、塾から出された宿題はありましたが、自力で解くにはどうにも難しく感じられます。そのまま遊びも勉強もせずダラダラしているうちに連休が終わってしまいました。
貴重な時間を無為に費やさないためには、計画性が問われます。Aさん・Bさんのように何日かけてなにをやるかを明確にしておきましょう。
ゴールデンウィークは事前に過ごし方を決めておいて
塾や家庭教師にゴールデンウィークの予定を確認し、早めにどう過ごすかを決めておきましょう。特に、家庭教師の場合は、先生の予定を早いうちに押さえておく必要があります。
ゴールデンウィークの過ごし方は早い段階で、子供と共有しておいたほうがよいです。子供がどう過ごしたいのかも聞いてあげてください。すべてを叶えることはできなくても、一部要望を取り入れてあげると、モチベーションを大きく落とさずに済みます。
ゴールデンウィーク中に克服したい課題はなにかを話し合い、計画を立てましょう。その際、詰め込み過ぎないことが大切です。その子のペースにもよりますが、確実にできる内容に絞り込み、それ以外は追加プランとします。ゴールデンウィークが終わった段階で、子供が「決めた内容をやりきれた」と達成感を得られれば、受験に向けてのやる気につながるものです。