中学受験の勉強に限らず、勉強には子どもの性格に合った方法や声のかけ方があります。中学受験を経験した保護者の声でよくあるのが、「上の子と同じ方法で中学受験を進めているのに、下の子はうまく行かない」というものです。それでは、その上の子と下の子は全く同じ性格をしているでしょうか。
おそらく違っていると思います。
性格の異なる子どもに、同じ勉強法・同じ声掛けをしても、同じ結果を生むことはありません。
性格は大きく分けて9種類に分類されます。タイプごとの特徴を記したので、自分の子どもがどのタイプに当てはまるのかを考えてみてください。また、親が思っている性格と実際の性格は違うこともあるので、性格診断は子どもと一緒に考えると良いでしょう。
9つの性格タイプ
1.完璧主義者タイプ
何事も完璧にこなさないと気が済まない。時間に1分でも遅れるのは我慢できない。自分にも他人にも厳しい。できない問題はできるようになるまでやろうとする。
2.お母さんタイプ
兄弟や友達の面倒をよくみる。優しい。相手のやるべきことも代わりにやろうとする。我慢強い。相手のミスを許しがち。
3.競争主義タイプ
局所的な集中力が高い。全て結果次第と考える。負けず嫌い。人にアドバイスをするのが好き。間違いを指摘されるのが嫌い。
4.お気楽タイプ
なにごとも「なんとかなる」と思っている。いろいろな物事にチャレンジしたいと考えている。声が大きく誰とも笑顔で話せる。嫌な事があってもすぐ気分を変えることができる。
5.アーティストタイプ
強いこだわりを持っている。創造性が豊か。感受性が強い。時に理解できない行動をとる。現実逃避が目立つ。自分をよく見せようとしがち。好き嫌いが明確。
6.研究者タイプ
マニアック。興味が無いことには意識が全く向かない。好奇心旺盛。自然科学に興味がある。ひとつのことに囚われることが多い。思考が飛びやすい。深く追求したがる。
7.コツコツタイプ
慎重に行動する。まじめすぎる。一つのことに囚われがち。責任感が強い。意志が強い。頑固。無理をすることがある。
8.リーダータイプ
自尊心が強い。人の上に立ちたがる。攻撃的。行動力がある。自信過剰なところがある。白黒はっきりしたい。自分が正しいと思ったらどんな人にでも意見できる。
9.協調タイプ
穏やかな性格。周りの目を気にし過ぎる。目立つのを嫌う。人の話をよく聞く。マイペース。優柔不断になりがち。
性格別勉強法
1.完璧主義タイプ
・全てが最初から完璧にはいかないことを伝える
・時間制限を設けて時間内に問題を解ける練習をする
・時には諦めることも大切なことを教える
やるべきことは確実に果たしたいと考えている完璧主義者は、初めて取り組む問題も完璧にやらなければいけないと考えてしまう傾向にあります。間違えを極度に恐れる傾向にあるので、練習問題は「間違えても良い」ということをしっかり伝え、間違えから学ぶことを教えると良いでしょう。
ケアレスミスを非常に嫌うので、何度も見直して結果として時間が足りなくなってしまうことがあります。全ての問題を解くためにも、見直しが重要なことは伝えつつも、時間配分に注意することを常日頃から気をつけるようにしましょう。
2.お母さんタイプ
・自分のために勉強できなければ親のために勉強して欲しいと伝えてみる
・他者に教える時間を作る
・ストレスを溜めすぎないように注意してみてあげる
お母さんタイプのお子さんは、自分のためよりも他者のために頑張れることが多くあります。ですので、モチベーションが下がってきたなと感じたら、「子どもが頑張ってくれて、私(親)が嬉しい」と伝えてあげるとモチベーションが高まります。また、年の近い弟や妹がいるのであれば、兄弟に勉強を教えるということも効果的です。現在、多くの教育機関でも「教え合い」の重要性が説かれていますが、他者に教えるためには「知っている」だけでなく「理解している」ことが重要となります。そのため、他者に勉強を教える事で自分自身の勉強の理解力が高まり、結果として学習に良い影響を与えます。
学習において他者を優先してしまう癖が悪影響を与えることがあります。塾では他の子どもに遠慮をして質問ができない場合があるので、そういった傾向が見えたら積極的に質問しても良いことを伝えてあげましょう。家庭教師をつけてあげれば、誰に気兼ねすることなく質問ができるので効果的です。
お母さんタイプの子どもは我慢強いため、ストレスを外に出さず、親がストレスに気付けない場合があります。子どもの些細な変化を見逃さず、特にスランプに陥ってしまった際のケアをしっかりしてあげることで、成績向上にも結び付きます。
3・競争主義タイプ
・目標までの「距離感」を常に意識させる
・勉強は「理解」が必要なことを伝える
・速度だけでなく正確さを鍛える
他者と競うことにモチベーションを見出すタイプの子どもは、模試の結果などを使って、目標到達までの距離がどの程度なのか、合格圏内にあとどのくらいで届くのかを視覚的に理解できるようにしてあげると勉強に励みが出ます。
競争主義タイプの子どもは、時として「時間」で他者と競ってしまう事があります。同級生よりも早く勉強の範囲を終えることや、テストを早く終わらせたことで達成感を感じてしまう兆候が見られたら要注意です。その時には成績で他者と比較してあげ、早さも重要ですが、学習には理解が重要なことを伝えましょう。
4.お気楽タイプ
・失敗やミスの原因を理解させる
・合格後の未来予想図を描かせる
・短期目標を設定させ少しずつステップアップさせる
とにかく楽天的なお気楽タイプは親御さんをヤキモキさせることが多いです。ケアレスミスを繰り返しても「細かいミスはしょうがない」とばかりに気にせず同じミスを繰り返します。何度も同じミスを繰り返しても、そこが自分の弱点だという事を理解していないので、そこが弱点になっていることを注意し、改善させましょう。
注意力が散漫になりがちで集中力の持続もきかない性格ですが、未来に対する視点だけは人一倍鋭い傾向にあります。中学に合格したら何をしたいのか、どういった大人になりたいのか、そういった「未来予想図」がモチベーションになりやすいので、希望に満ちた未来を実現させるために今努力することを伝えてあげてください。
長い時間の集中が続きにくいため、小さな目標を少しずつクリアしていく「スモールステップアップ」が有効です。低い目標をクリアしたら、次はそれより少し高い目標を与え、他のタイプよりも干渉をやや強めに対応するのが良いでしょう。
5.アーティストタイプ
・他者と同じ行動が苦手なので家庭教師の方が向いている
・1か所にこだわり過ぎないようにする
・高圧的にならないように注意する
非常に強いこだわりを持つアーティストタイプの子どもは、他人と一緒に「よーいドン!」で行動するのが苦手です。また上から目線が強い大人に対して反発心を持ちやすい傾向にあります。こういた点から、塾よりも家庭教師向きの性格と言えます。家庭教師に依頼する場合には、指導時に高圧的に注意しないようお願いした方が良いでしょう。
ひとつの問題にこだわりすぎる傾向があります。特にギリギリ解けそうな問題に執着することがよくあるので、模試の際に「まずは全体を終えること」に慣れさせ、本番でひとつの問題にこだわり過ぎないことに慣れさせた方が良いでしょう。
他者と比較されるのを非常に嫌がるので、褒めたり叱ったりする際には、他者との比較ではなく、どれだけ本人が頑張ったかに着目してあげた方が良いでしょう。
6.研究者タイプ
・好きな分野のみに注力しがちなので苦手分野に時間を割くように指導する
・興味のある分野にのめりこみ過ぎるので進度を親や家庭教師で設定した方が良い
・「面白い」と感じさせると非常に伸びる
このタイプのお子さんは自分が好きな分野をとことん突き詰めようとします。自主的にやらせていると受験に必要ない範囲まで探求してしまうので、一定の進度で進む集団塾の方が向いています。また、興味が無い分野に使う時間があれば好きな分野を探求しようとしてしまうため、苦手な分野に時間を割くようにする必要があります。そういった観点から、苦手分野があれば、そこだけでも家庭教師を付けるのが良いでしょう。
苦手な分野でも「面白い」と感じたら探求するので、子どもの苦手分野に対して指導に定評のある講師を探してあげると良いでしょう。
7.コツコツタイプ
お母さんタイプと近いタイプですが、自分のために力を使う事ができるので、家庭学習もしっかりと行うことができます。真面目な性格のためキチンと言われた範囲の勉強をこなしますが、持ち前の責任感の強さから、できない部分があることを認めることが苦手です。そのため理解ができない範囲に捕らわれてしまい、机に向かう時間が長いのに成果が出ないことがあります。
机に向かう時間が無駄に長くならないように、「分からないところは分からない」と言えるようにできる環境を整えてあげると良いでしょう。ある単元でつまずいても、宿題や課題は解こうと頑張るのですが、かえってそれが「理解」の妨げになることがあります。小テストや模試で苦手な部分が発見出来たら、理解ができるように丁寧に教えてあげましょう。
過度な目標にも無理と言えずに頑張ってしまう傾向にあるので、小さな目標も据えて、着実にステップアップしている実感を持たせてあげましょう。それがやがてモチベーションの維持にも繋がります。
8.リーダータイプ
・模試やテストの結果を評価してあげる
・自尊心の高さを自覚させる
・課題などを勝負に置き換える
とても自尊心が高く、その自尊心に見合った行動力も併せ持つのがリーダータイプの子どもです。何事にも白黒ハッキリつけて、自分がおかしいと思ったら大人相手でもしっかりと意見を言えるタイプです。競争心も高いため、模試やテストなど他者との比較や自身の順位が出るものが大好きです。次も高順位をとることがモチベーションに繋がるので、模試などをどんどん受けて本番の練習にしたり、本人の原動力にしたりしましょう。
自尊心が高いため、質問をすることが苦手な場合があります。その自尊心の高さが学習の妨げにならないように、「分からないことは恥ではなく、分からない状態を続けることが恥である」ことを説明して、先生に分からないところを質問できるように誘導してあげましょう。
勝負事が好きであるケースが多いため、モチベーションが下がってきたなと感じたら、中学受験をレースに置き換えて競争心を煽るのも良いでしょう。模試の結果などからライバルがどのくらいいるのか、今の状態で中学受験を勝ち抜けるのかを示してあげるとモチベーションが上がるでしょう。
9.協調タイプ
・他者からの目線が気になる性質のため1人で学習する方がはかどる
・模試の結果にこだわり過ぎず着実に目標到達を目指す
・合格した後のイメージを持たせる
他者との競争が苦手なタイプなので、模試の結果から他者との競争を促してもモチベーションは上がりません。また、目立つのが苦手なため、模試の結果が優秀でも友人に誇ることはしたくないと考えています。周囲の言葉に人一倍敏感なので、1人で勉強できる空間を持たせてあげると良いでしょう。同じ理由から集団塾よりも家庭教師での学習の方が、自分のペースを保って勉強ができます。
競争心を煽ってもあまり効果はありません。代わりに、中学受験が成功し、周りの友達と楽しく過ごすイメージを持たせることがモチベーションの向上に繋がります。