大妻中野中学校は東京都中野区上高田に位置します。確かな学力と豊かな心の育成を目指している女子校です。この記事では、大妻中野中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の勉強法を紹介します。
そもそも大妻中野中学校ってどんな学校?
大妻中野中学校は1941年に創立された女子校です。建学の精神として「学芸を修めて人類のために」を掲げています。教育の最終目標は、「幸福の自己実現」と「社会に貢献できる人材に」です。
グローバル教育を意識していて、2016年にはグローバルリーダーズコースを設置しました。これは英語教育における独自の取り組みで、ネイティブの先生による授業時間が長くとられていて、英語習熟度に合わせてクラスが二分割されています。また、少人数クラスのため、英語についていきやすいという利点があります。
大野中野中学校は英語以外にもフランス語を教えています。日仏高等学校ネットワーク(コリブリ)に加盟していて、フランス語選択生として選出されれば、パリ、ベルサイユ、リール、ボルドー、リヨン、モンペリエ、ヴァランシエンヌなどフランス各地の高等学校への短期留学をする選択肢もあります。
日本語以外を母語とする教員も多く、2023年現在9名が在席しています。毎年三月には、コンテスト形式によるTEDスタイルの英語プレゼンテーションと「グローバル教育発表会・プレゼンテーションコンテスト」を実施。加えて、留学の取り組みにも熱心で、先に挙げたフランス以外にも、一年留学する先としてアメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、ドイツ、ニュージーランドなどがあります。なお、一年留学だけではなく、ターム留学できる先も用意されています。大妻中野中学校は、グローバル教育に力を入れている学校です。
大妻中野中学校の入試概要
大妻中野中学校の入試について見ていきましょう。
2023年度の入試
大妻中野中学校の入試はいくつか種類があります。まず、2023年度のアドバンスト入試は2月1日と2月2日の午前午後、計四回に分けて実施されました。第一回と第二回は約50名が定員で、第三回が約45名、第四回が約25名です。
新思考力入試は2月4日で定員は約15名、グローバル入試は2月1日と2月3日、シンガポール入試は10月30日、オンライン入試は11月12日、海外帰国生入試は11月5日と12月22日に行われています。これらの定員は合わせて約36名です。
入試の種類
入試の種類を紹介します。
アドバンスト入試
アドバンスト入試は2008年度から実施されています。発展的な学びを進めるアドバンストクラスに入るためのものです。
受験科目は2科(国語・算数)または4科(国語・算数・理科・社会)となります。
新思考力入試
新思考力入試は2017年度から導入されました。「グローバルな問題にクリエイティブに取り組み、未来社会のあり方を考察する力」「教科の枠を超えた『正解のない問題』に立ち向かい、それを解決しようとする思考力と発信力」を身につけることを目指す受験生のためのものです。
グローバル入試(英・国・算 入試)
大妻中野中学校では、グローバルリーダーズコースを設置しています。このコースは海外帰国生およびグローバル入試の合格者から構成されます。基本的には英語・国語・算数の試験ですが、「英検 CSE2.0」1980(2級相当)以上、「TOEIC L&R」600点以上、「TOEFL Junior」745点以上、「IELTS」4.0以上いずれかの取得者の場合は、日本語と英語の面接試験のみ行います。
グローバル入試は、「国内で英語を学習し一定の英語力のある者」「国内インターナショナル校出身者」「時期・期間を問わず海外在留履歴がある者」の中のいずれかの条件を満たしていなければ受験できません。
帰国生入試
帰国生を対象とした入試でグローバルリーダーズコースに入るためのものです。シンガポール会場でも入試を行っています。
帰国生入試の受験資格は「保護者の海外勤務等に帯同することで、本人が継続して1年以上海外に在留し、 2021年4月1日以降に帰国した者。もしくはこれに準ずる者」です。
出願について
原則はインターネットによるweb出願です。しかし、二月の中学入試では窓口出願を設ける日があります。
大妻中野中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
大妻中野中学校におけるアドバンスト入試四科目の出題傾向を紹介します。
国語の読解文はひとつだけ
国語は前半で論説文がひとつ出題されます。後半は漢字や文法などの知識問題です。読解文が一問しかない分、たっぷり長さをとっています。選択問題が多く、記述は抜き出しが中心です。自分でまとめるタイプの記述問題も出題されますが、字数は多くありません。後半はすべて知識問題で、文法の出題が他の学校より多いのも特徴的です。
算数は基本レベルが大半
算数は問題文が短く、問題の数も多くありません。難易度も問題集の基本レベルが大半であり、点差がつきづらい内容になっています。大問一は計算問題のみ、大問二ではいろんな単元から小問が出題されます。
理科は実験についての問題が頻出
理科は実験についての問題がよく出ます。実験についての説明をよく読んで理解しておくようにしましょう。問われている内容自体は難しくないですが、計算が必要な問題がよく出ます。大問は三つ程度と少なく、問題文も短いので解きやすいです。単元としては、水溶液や地層がよく出題されています。
社会は地図や図が多い
社会は地理・歴史・公民から出題されます。地理では、産業や農業など各地域や都道府県の特徴を問う問題がよく出ます。
中学受験の問題集の枠をはみ出た問題も少なからず出題されます。分野を問わず地図や図表、写真から情報を読み解く問題も多いです。大問は三つ程度ですが、問題文のボリュームがあるので、意外と読むだけで時間をとられがちです。
- 社会以外は過去問をやり込めば大体の出題傾向がわかる
- 基本的レベルな難易度の問題が多い
大妻中野中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
大妻中野中学校に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
論説文の問題をたくさん解こう
読解では論説文が出やすいのでたくさん解いておきましょう。多少小難しい文章が出てきても、ひるまず解けるよう読み慣れておくことが必要です。読解文がひとつしか出ない分、ボリュームもあります。長い文章を処理する能力が必要です。
論説文を読み込むコツ
論説文を解いていると「難しくて内容が頭に入らない」と訴える子供が少なからずいます。その場合は意味段落ごとに分ける練習から始めましょう。形式段落に番号を振って、意味段落ごとに分けます。意味段落の内容をそれぞれ要約してまとめてみましょう。それができると論説文の伝えたい内容が明確にわかるようになります。
文法に力を入れよう
最近の中学受験の主流は読解問題がたくさん出るパターンですが、大妻中野中学校では文法などの知識問題がたくさん出ます。塾や市販のまとめ教材を活用しましょう。たとえば、四谷大塚なら「四科のまとめ」が該当します。要点に絞ってまとめられているので、無駄がないです。
漢字の読み書きを固めておこう
漢字の読み書きも出題されます。字の書き方を理解していても、雑さで減点されてしまう子供は少なくないので、色濃い筆圧で「とめ」「はね」「はらい」まできっちりと書くようにしてください。筆圧が弱い子供は、早いうちから濃く書く練習をしておいたほうがよいです。
- 長い文章を処理する能力が必要なため、論説文に読み慣れておく
- まとめ教材を上手く活用する
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算ミスをしやすい場合は対策を
計算ミスをしやすい子供は、対策をしておきましょう。大妻中野中学校の場合、大問一はすべて計算問題です。日頃からケアレスミスが多いのであれば、ミスが発生する原因を探りましょう。計算慣れしていないせいであれば、計算をたくさんこなす必要があります。途中式の書き方がよくないケースも多々あります。原因を特定し、改善につなげましょう。
基本問題は徹底的にやり込む
基本問題をやり込むようにしましょう。応用問題も出ますが、応用問題の中でも比較的簡単なものが出題されています。受験勉強の際は難しすぎる問題まで解いているとタイムロスになるので、あらかじめ塾や家庭教師の先生にどのレベルまで解けばよいか確認をとっておいてください。
平面図形や規則性をやり込んでおこう
算数は平面図形や規則性を中心にやり込んでおいてください。よく出る単元なので出題パターンに慣れておく必要があります。
- 点差が付きづらくケアレスミスが致命傷になるため、原因究明を怠らないようにする
- 過去問を徹底的にやり込んでおく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
理科は実験を中心に見直しを
理科の実験について扱っている単元をぜひ見直しましょう。実験は出題しやすいため、過去にもよく出てきています。特に計算を伴う問題はよくやり込んでおきましょう。
頻出単元は水溶液と地層
水溶液と地層や火山の問題はここ数年よく出ています。水溶液はそれぞれの性質や実験の仕方などを覚えておいてください。地層や火山は、火成岩をはじめ、石の種類や名前も憶えておきましょう。また、物理の問題もチェックしておいてください。物理で計算が必要な単元は解けるようにしておくとよいです。
- とにかく計算を伴う実験問題をやり込んでおく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
図表から必要な情報を読み解く練習を
大妻中野中学校の問題は図表から情報を読み解き、自分で考えるタイプの問題が多いです。過去問を解いてみて、似たような問題をどんどんこなしていきましょう。
記述問題にも対応できるよう
記述問題では、問題文をよく読んで考えさせるタイプの問題が出題されます。どちらかというと、国語の読解文を解くのに似ています。文中にヒントがあるので、探してみてください。問われているポイントだと思うところに、下線を引くとよいです。
語句を答える問題はまとめ教材で
語句を答えるタイプの問題は基本レベルが多いので、まとめ教材や問題集の要点のページをやり込んでおくとよいでしょう。その際、漢字まできっちり覚えておいてください。
- 自分で考える必要のある問題が多いので、類題をやり込んでおく
アドバンスト入試以外の問題は?
新思考力入試は、自分で考える力を問われる問題構成になっています。そのため、基本的な知識は必要ですが、それ以上に与えられた材料から考えを深める力が求められます。まずは過去問をやり込んでください。
受験対策で時事を勉強しておくと、自分の意見を広げる際に役に立ちます。特に総合2では設定されたテーマに基づいて、文章をまとめなければなりません。日頃から社会への関心を持っている子供のほうが、より豊かな視点で書くことができるでしょう。
グローバル入試では、英語のスピーキングテスト以外はアドバンスト入試と同じ問題が使用されます。帰国生入試では読解文を読んで長めの記述を書く問題が出ます。それ以外は知識問題です。読む力、書く力を鍛える必要があるので、記述問題の練習をしておきましょう。
知識問題は文法や漢字です。解くためには語彙が必要な問題も多いので、四字熟語や慣用句を覚えておいてください。算数はアドバンスト入試とそんなに変わらない問題が出ます。
大妻中野中学校は、頻出単元を洗い出して臨もう
大妻中野中学校は出題形式や頻出単元が比較的わかりやすい学校です。そのため、過去問をやり込めば大体の問題の傾向がわかります。対策を立てづらいのは考えさせる問題が多い社会ですが、問われている内容自体の難易度が高いわけではないので、基本的な知識を固めておけば大丈夫です。全科目、頻出単元をピンポイントでやり込んで、合格ラインに届く状態にしておきましょう。
国語の論説文は、苦手意識が強い子供も多く、思うように点数がとれないかもしれません。その場合は意味段落に分けて、要約をする練習をしましょう。算数は計算問題が五問ぐらい出るので、そこで失点しないよう計算慣れしておいてください。ケアレスミスが多い場合は原因を分析した上での対策が必要です。理科は水溶液や地層といったよく出る単元をしっかりやり込み、実験に関連する計算を解けるようにしましょう。社会は図表を読めるようにしてください。与えられたヒントから考えを深める、国語的な解き方に慣れておきましょう。
入試の種類がバラエティに富んでいるので、どういう受け方をすれば合格できるのか戦略的に考えることをおすすめします。