共立女子中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

  • 2023年10月17日
  • 2024年2月6日

東京都千代田区にある共立女子中学校は、完全中高一貫体制の女子校です。幼稚園から大学院までを擁する共立女子学園の学校で、長い歴史を紡いでいます。この記事では共立女子中学校を目指す家庭に向けて国語・算数・理科・社会の勉強法を紹介します。

そもそも共立女子中学校ってどんな学校?

そもそも共立女子中学校ってどんな学校?

1886年、共立女子中学校は、実業家や教育者など幅広い立場の先覚者34名によって、共同して創立されました。女性が自立し、社会人として職業に就くことを目的とした学校です。

共立女子中学校は「誠実・勤勉・友愛」の校訓を掲げ、「周囲と協調しながら個性を発揮」しつつ「自立を志向し社会に貢献」できる女性に生徒たちが育つよう働きかけをしています。

関わる力(人間関係力)」「動く力(計画行動力)」「考える力(情報活用力)」「解く力(問題解決力)」の四つの力を重視していて、バランスのよい人間の育成に努めています。

共立女子中学校において、採用しているのが「4+2システム」です。中高一貫の六年間を「基礎力を育てる4年間」と「実践力を育てる2年間」に分けて、それぞれに目標を設定しています。前半の四年間では教科の偏りなく基礎力を育てます。後半の二年間では大学進学を視野に入れて、より専門性の高い学力形成を目指します。また、6ヶ国9都市への留学・語学研修プログラムを用意し、英語のカリキュラムにも力を入れています。

一学年が約320名と多く、たくさんの出会いを得られる学校であることは間違いありません。

共立女子中学校の入試概要

共立女子中学校の入試概要

共立女子中学校の入試について見ていきましょう。

2023年度の入試の倍率

2023年度の入試は4科型入試が2月1日(定員130名・倍率2.2倍)もしくは2月2日(定員110名・倍率2.3倍)、英語4技能型(定員15名・倍率1.3倍)と合科型(定員40名・倍率3.1倍)が2月3日でした。他にも海外帰国生入試(定員25名・倍率1.5倍)が実施されています。受験方法が多様なのが特徴です。

2024年度の入試

2024年度も2023年度と同様、4科型入試が2月1日(定員130名)もしくは2月2日(定員110名)、英語4技能型(定員15名)と合科型(定員40名)が2月3日の予定です。海外帰国生入試(定員25名)は11月26日に行われます。

海外帰国生入試は11月26日のみなので、検定料は25,000円ですが、2月の試験は複数回受ける選択も可能で、検定料は一回の入試につき25,000円、二回同時出願で40,000円、三回同時出願で50,000円というシステムを採用しています。

合格発表日は海外帰国生入試および4科型入試は当日の19時、英語4技能型と合科型は翌日17時です。入学手続きの締め切りは試験方式によってバラバラなので、間違えないようにしなければなりません。入学手続き後は、「制服等採寸日」「保護者・新入生ガイダンス」などもあります。

2024年度の出願について

インターネット出願を採用しています。平日・土日・祝日問わず24時間出願ができる点がメリットです。支払方法もクレジットカード・ペイジー(金融機関ATM)・コンビニから選べます。支払後にマイページから受験票を印刷しなければならないので、忘れないようにしましょう

共立女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

共立女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

共立女子中学校における4科型の出題傾向を紹介します。

国語は毎年詩が出題

配点は100点で試験時間は45分です。大問は五つの構成となっています。構成としては大問一と二が知識問題であるケースが多く、大問三で、大問四と大問五で長文読解です。読解は物語文・論説文・説明文、随筆文の中からひとつずつの出題が基本ですが、同じジャンルからふたつ出題された年もありました。国語の難易度は高くなく、読みやすい文章が選ばれます。記号問題が多いこともあり、点差はつきにくいです。記述問題は、二問程度出ます。字数は四十字ほどで短めです。

知識問題では、主に漢字と文法が出題されます。なお、2023年2月1日の問題では大問一は漢字、大問二は文法でしたが、2月2日の問題では大問一は漢字、大問二は短い文章を読み解く問題でした。

毎年、詩を扱っているのも特徴的な点です。2023年2月1日の入試では『いつもの長い夜』(三角みづ紀)、2月2日の入試では『裏庭』(遠野魔ほろ)が出題されました。

算数は図形が多め

算数は配点が100点で試験時間は45分です。大問は七つで、全体的に図形の占める割合が大きいといえます。問題数は多めなので、時間内に解ききるためにはスピーディーな処理が必要です。問題自体の難易度はそこまで高くありません。

まずは、頻出単元の対策をしていくとよいでしょう。よく出題されるのは四則計算平面図形立体図形場合の数濃度などです。問題文はさほど長くなく、取り組みやすい構成になっています。

理科は選択問題が大半

理科・社会の試験は、2021年度まで一冊の冊子にまとめられ、合計50分の方式をとっていました。2022年度から別々に変更され、2024年度は配点50点、試験時間30分の予定です。大問四つから構成されます。

理科は、基本的な知識を問うような問題が多く、比較的解きやすいと言えます。選択問題が圧倒的に多く、語句を書く問題や記述問題も少しあります。選択問題は「正しいものを選べ」だけではなく「正しくないものを選べ」といった出題も含まれます。解きやすい問題が多い分、どう失点しないかが問われます

理科では、会話文形式の問題が毎年出題されています。問題文をしっかり読み込んで、解くための手がかりを探す姿勢が大切です。

社会は各分野満遍なく出題

2024年度の社会は、理科と同様に配点50点、試験時間30分の予定です。大問は四つで地理・歴史・公民から満遍なく出題されます。大問一で歴史、大問二・三で国内外の地理、大問四で公民という構成が比較的多い印象です。そのため、地理はしっかり対策しておくとよいでしょう

選択問題がメインですが、語句を書かせる問題もありますし、記述問題もあります。それぞれ対応できるようにしておいてください。会話文形式の出題が多く、四つある大問のうちの半分を占めます。

ポイント
  • 出題傾向が読みやすい
  • 事前の対策で大きく差がつきやすい

共立女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

共立女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

共立女子中学校に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字対策は丁寧に

大問一では漢字の読み書きが出題されるので、読み書き両方に対応できるように勉強しておきましょう。「とめ」「はね」「はらい」で失点する子供も多いので、細部まで覚えておくことが大切です。

文法を理解しておこう

大問二では文法が出題されるケースが多いです。中学受験対策の問題集ではひとつの単元に、読解と文法の両方が含まれる構成が一般的です。つい読解のほうに注力しがちですが、文法もやり込んでおきましょう。

基本レベルをきっちりやり込む

読解文の基本レベルをきっちりとやり込んでいきましょう。ひとつの単元に挑むとき、ただ問題を解けばよいわけではなく、そこに出てくる知らない言葉の読み方と意味を覚え、間違えた問題のどこがいけなかったのかを理解する必要があります。しかし、実際には、記述問題の模範解答を書き写して終わってしまう子供があまりに多いです。

これでは、次に似たような問題が出ても間違えてしまいます。国語の記述問題は、「書き抜き」の問題でなければ、できるだけ塾や家庭教師の先生にチェックしてもらってください。減点ポイントを教えてくれます。一度指摘された減点ポイントで、繰り返し失点しないようにしましょう。

共立女子中学校の国語対策
  • 漢字は丁寧に書いて無駄な失点を防ぐ
  • 基本レベルをやり込む
  • 模範解答を書き写して終わらずに先生に添削をしてもらう

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

平面図形の比率が高め

頻出単元である四則計算、平面図形、立体図形、場合の数、濃度などをやり込んでおきましょう。中でも、平面図形は多めに出題される傾向にあります。問題の難易度は基礎的なレベルが多く、難しくありません。まずは基本問題をやり込んで完璧に解けるようにしてください。しかし、応用が解けない状態で臨んでも合格点はとれないので、基本問題で失点しないことを前提にプラスアルファで実力を伸ばす必要性があります。

また、平面図形を点が移動するタイプの問題もよく出ています。類題をたくさん解いてパターンを覚えておくことをおすすめします。

規則性の問題を素早く求められるように

規則性の問題は慣れていないとタイムロスが大きい単元です。スムーズに解けるよう応用問題まで仕上げておいてください。まずは過去問でどんな問題が出題される傾向にあるかを確認したほうがよいでしょう

共立女子中学校の算数対策
  • 過去問で出題傾向をつかむ
  • 平面図形は類題を多くこなしてパターンを覚える

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

回路図がよく出題されるので対策を

ここ最近、電流から回路図の問題がよく出題されています。電流は苦手な子供が多い単元です。電流の計算回路図の書き方を改めて復習しておきましょう。スラスラ解けるようになるまでやり込んでください。中途半端な理解で失点する子供は多いです。

人体からの出題も多いので読み物を活用して

人体からの出題が多いのもここ最近の傾向です。人体は覚えなければならない用語がたくさんあるため、苦手意識の強い子供も少なからずいます。しかし、人体は小学生向けの学習漫画が多く出版されている分野であるため、読んでから覚えると意外とすんなり理解できるものです。ぜひ試してみてください。

共立女子中学校の理科対策
  • 「電流の計算」「回路図の書き方」をしっかりと理解する
  • 人体は学習漫画を読んでからがスムーズな理解につながる

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字で失点しないように

語句を問われる問題で失点しないためには、問われている内容だけではなく漢字をしっかりと書ける必要があります。六年生になると、社会を勉強する時間が足りなくて、読みあげて覚える子供も多いです。しかし、漢字で間違えるリスクがあるので、なるべく語句は書き出しておきましょう。

地理の対策に注力

社会は地理・歴史・公民から出題されますが、地理の分量が多めです。そのため、地理の対策必須です。早い段階で日本地図を頭に入れておいてください。その上で、それぞれの地域の特色をグラフとあわせて把握しておきましょう。農業や工業の生産地輸出入のデータを使った問題もよく出ます。一気に覚えるのは大変なので、スーパーに行った際に産地をチェックするところから始めてみるとよいでしょう。かるたなどの知育玩具を使うのもよいです。

図表や地図が読めることが前提

社会では図表や地図を使った問題がたくさん出ます。そのため、受験勉強する際には積極的に図表や地図をチェックしておきましょう。中学受験のテキストに載っていないようなグラフが出ることもありますが、その場合はグラフを読む力自体が問われています。「知らない」と焦るのではなく、数字がなにを示しているのか見極めるようにしましょう。

共立女子中学校の社会対策
  • とにかく地理をやり込む
  • 図表や地図を積極的に勉強しグラフを読む力を養う

合科型や英語4技能型・海外帰国生入試は

合科型や英語4技能型・海外帰国生入試は

4科型以外の入試は、それぞれに特化した対策が必要です。

合科型の試験では、2023年度は「鉄」をテーマに横断的に問題が出題されていました。歴史にしろ、地理にしろ、理科にしろ、鉄に関連して、知識がちゃんと身についているかが問われました。

英語4技能型は英文を読む問題や、放送を聞いて答える問題が用意されていました。読む力も聞く力も両方とも必要です。なお、合科型と英語4技能型は算数のテストもあわせて受けます。

海外帰国生入試は英語か国語および算数ですが、国語・算数は4科型と大差ありません

共立女子中学校は出題傾向を分析して臨もう

共立女子中学校は出題傾向を分析して臨もう

共立女子中学校は出題傾向が比較的わかりやすい学校です。過去問数年分がホームページで公開されているので、挑戦してみて出題傾向を把握するところから始めましょう。どの教科も難易度自体はそんなに高いわけではありません。だからといって、基本だけを勉強しても解けない問題は多く、応用力を必要とする問題でどれだけ失点しないかが問われます。

算数や理科は考え込んでいる時間はないので、問題を見たらスラスラ解けるレベルにまで仕上げなければなりません。社会は地理を中心に網羅的に取り組んでおきましょう。問題文自体にヒントが散りばめられた出題も多いので、解く際は文章を隅々まで読んでください。国語は早いうちからコツコツと漢字や文法の知識を固めておくとよいでしょう。

年度にもよりますが、だいたい六割前後が平均点なので、そのラインを意識してみてください。

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