東京学芸大学附属小金井中学校はその名のとおり、東京学芸大学の附属校であり、大学の教育研究の成果をカリキュラムに反映している学校です。この記事では、東京学芸大学附属小金井中学校を目指す家庭に向けて、各科目の勉強法を紹介します。
そもそも東京学芸大学附属小金井中学校ってどんな学校?
東京学芸大学附属小金井中学校は、東京学芸大学の附属校である国立中学校です。東京学芸大学は附属の中学校を数多く擁しますが、小金井中学校は唯一大学キャンパス内に位置しています。附属研究機関であるため、実験的な授業も珍しくありません。前後期制を採用していて、定期考査は前期後期それぞれ二回ずつあります。
東京学芸大学附属小金井中学校の生徒は、附属小金井小学校もしくは附属大泉小学校から連絡進学した生徒と外部から受検した生徒の二つのパターンに分かれます。附属高校もありますが、中高一貫校ではないため、必ず入試を突破しなければなりません。なお、小学校から連絡進学した生徒と外部からの生徒では、進学実績に差はないです。
校風としては生徒の自主性を重んじています。各学年で行う宿泊旅行、スポーツフェスティバル、クラスソング発表会、学芸発表会、合唱祭など充実した学校行事の中でも、生徒の主体的な活躍は認められます。決められた制服はないですが、自由な服装で通えるわけではありません。「中学生らしい品位ある服装を用い常に正しい姿勢をとり、清潔に留意する」と生徒心得にはあり、基本的には学生服に見える服装を選びます。
東京学芸大学附属小金井中学校の入試概要
東京学芸大学附属小金井中学校の入試概要について見ていきましょう。
2023年度の入試
2023年度、東京学芸大学附属小金井中学校の入試は、男女合わせて58人の枠が設けられました。対して出願したのは男子83名、女子63名です。スケジュールは出願が、2023年1月16日配達日指定の簡易書留郵便、選抜は2月3日、合格発表並びに保護者会が2月5日でした。
受験ではなく受検
私立中学校では「受験」という漢字を使い、国立や都立の中学校では「受検」という漢字を使います。なぜ「受検」なのかといえば、「検査(試験)を受ける」ためです。私立中学校に比べて問題自体の難易度は低いケースが多く、その分しっかりと考えて書く力を求められます。
ただし、東京学芸大学附属小金井中学校の入学検査の場合は、国語以外の科目で記述問題は少なめです。したがって、入学検査の難易度としてはそんなに高くありません。
過去問について
過去問については、学校のホームページで国語以外の科目を解説しています。国語は著作権の関係で公開されていません。解答用紙も公開されているため、受検本番でどういう風に解答するかのイメージがつかみやすいでしょう。問題の解き方だけではなく、なぜその問題を出題したのかの意図も掲載されています。これを読むと、どういう生徒像を求めているのかがよく理解できます。ぜひ一度目を通してみてください。
たとえばある年の社会科では「スーパーマーケットの食品売り場に行くと、キャベツや白菜は丸ごとだけでなく、半分や4分の1の大きさに切って売られていました。それはなぜか、説明しなさい」という問題が出題されています。これは子供の想像力を問う問題です。見えないものを見ようとする目が求められています。
東京学芸大学附属小金井中における国語・算数・理科・社会の出題傾向
東京学芸大学附属小金井中における四科目の出題傾向を紹介します。
国語の出題傾向
大問数は3問で、読解文が2問と放送問題が1問となります。小説文と、説明文もしくは論説文が出題される傾向にありますが、小説文に代わって詩が出された年度もあるため、注意が必要です。また、知識問題は読解問題の中に組み込まれて出題されます。全体としては記述問題が中心です。
放送問題は、放送を聞いて、その内容についての設問を解いていきます。自分の考えを記述する問題もあるため、書く力が問われます。
算数の出題傾向
大問数は4問前後の構成になっていて、2023年度は3問でした。基本的には答えだけを記入する形式の問題が多いです。ただし、図形の単元では、展開図をはじめ作図問題もよく出題されます。単純な計算問題は冒頭に少し出る程度で、応用力が求められます。
中学受験として見れば難易度がそこまで高いわけでもありません。答えを求めるまでの手間はかかりますが、落ち着いて考えれば解ける問題です。頻出単元は図形と規則性なので、そのあたりを集中的にやり込んでおく必要があります。
理科の出題傾向
大問4~5問の構成です。2023年度は5問でした。基本的な知識を問う記号問題・選択問題が多いため、難易度はそんなに高くありません。ただし、2023年度は回路図を表す問題や電磁石の利点を説明させる問題も出ています。長めの会話文を読んでから解くタイプの設問もあるため、読解力も必要です。
社会の出題傾向
大問は3~6問で、2023年度は3問でした。図版を使った問題が多いため、教科書を読む際には必ず合わせて覚えておきましょう。基本的には記号や選択問題が中心です。ただし、選択問題は複数選ばなければならない問題がほとんどであるため、多少難易度が高く感じられるでしょう。記述問題も出るため、要点を押さえて説明する力が必要です。
分野としては地理・歴史・公民から満遍なく出題されます。年代に合わせて並び替える問題は頻出なので、物事が起こった流れを理解しておきましょう。また、これは基本ですが、地理は都道府県の地図と絡めて出題されるケースが多いので、位置関係はしっかり頭に入れておいてください。
- どの科目も難易度としてはそんなに高くない
- 過去問をやり込んで本番でのイメージを定着化させる
- 時間配分と見直しの優先順位決めが重要になる
東京学芸大学附属小金井中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
東京学芸大学附属小金井中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
物語文・説明文・論説文を読み、読解力をつけよう
物語文や説明文もしくは論説文が出ることが多いです。そうしたジャンルの文章を読み慣れておきましょう。読解文の問題に挑む際は、単元ごとに出てきた語彙を確実に覚えるようにしましょう。また、問題集を解く際には音読がおすすめです。文章の取りこぼしや漢字の読み間違いを防ぎましょう。
塾や家庭教師の先生に添削してもらおう
記述問題にはコツがあります。文末表現、句読点の使い方、文体の統一などを理解しておきましょう。塾や家庭教師の先生に添削してもらい、指摘された減点ポイントを繰り返さないようにします。自分で添削するのだけは避けましょう。
私立の問題も役立つ
国語に関しては私立中学の受験問題も参考になります。できるだけたくさんの記述問題を解きましょう。他校の過去問を解いた際に、知らない言葉が出てきたら、それも必ず覚えてください。
- 単元ごとに出てきた語彙を確実に覚えるようにする
- 数をこなして記述問題を解くコツを掴んでおく
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
図形と規則性の問題に取り組もう
東京学芸大学附属小金井中学校は図形と規則性が頻出単元です。たいていは応用レベルで出題されますが、飛び抜けた難問が出るわけではありません。まずは過去問を解いて問題のレベルや形式を把握しましょう。その上で、問題集をやり込んでいきます。
計算ミスに気をつけよう
2023年度は大問1で計算問題が出題されています。いずれも計算ミスを誘発しやすい煩雑な計算式です。しかし、計算問題は多くの受検者が点をとる問題なので、落とすわけにはいきません。日頃から計算をたくさんこなして、解き慣れておいてください。幸い、問題用紙は余白が多めなので、計算の書き込みがしやすいです。
余白に書き込む際は、計算問題が混ざらないよう配置を決めてください。書いているうちに、式と式が混ざってしまって計算ミスをしてしまう子供がいます。乱雑に殴り書きをしないように気をつけましょう。
見直しの効率化を
受検本番では余った時間があれば、できる限り見直しをします。どの問題から見直すかは、解いている間に決めておきましょう。問題の手ごたえから、ミスが発生している可能性のある問題はどれか、間違えていた場合、素早く修正できそうな問題はどれかなどを考えながら解きます。
難問を見直していると、時間がかかり過ぎて一問だけで終わってしまいかねないので、残り時間や配点とのバランスが大切です。そのあたりの感覚は過去問をやり込むことで養われます。過去問をやる際には本番と同じ時間でタイマーを設定してみてください。どのぐらいの見直し時間があるのか感覚的に掴んでおくことが大切です。本番に向けて、イメージトレーニングができているかどうかは点数を大きく左右します。
教科書に出てくる作図問題をやり込もう
展開図をはじめ作図の問題がよく出題されます。教科書に出てくる作図の問題はチェックしておいてください。作図は性格が出やすいので、雑な子供はいい加減な図を描いてしまいがちです。しかし、それでは減点されてしまうので、線の一本一本を丁寧に書くようにしましょう。日頃、問題集を解くときの実践が肝心です。
- 計算ミスを誘発しやすい煩雑な計算式が出るので、余白をきれいに使う癖付けをする
- 見直しは過去問を通して「残り時間」と「配点」のバランスを養っておく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
基礎知識を固めよう
基本的な知識を問う問題も多いため、まとめ問題集のような教材をやり込んでおくとよいです。
作図問題も解けるように
作図問題を解けるように仕上げる必要があります。回路図をはじめ、教科書に出てくる作図の問題はひと通り理解しておいてください。図は見やすくなるよう線をまっすぐ引くことを心がけましょう。
記述問題への対策
理科では記述問題が出題されます。そのため、理科に関する現象を説明できるようにしましょう。問われる内容はあくまで基礎ですし、問題数自体は少なく二問程度です。要点をおさえて端的にまとめられるかが問われます。問題集の解説をよく読み込んでおけば問題なく解けるでしょう。
- 基本知識は「まとめ問題集」のような教材を活用して身に付ける
- 作図の問題はひと通りやり込んで理解しておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
年号を覚える
起きた出来事を年号順に並べ替える問題がよく出ます。そのため、年号は覚えておくとよいでしょう。年号をたくさん覚える作業はとても大変なので、語呂合わせの本を活用することをおすすめします。もしくは歴史の流れをきっちりつかんでおくことです。丸暗記するタイプだとなかなかこれができません。
流れで理解するためには、単元ごとに誰かに説明をするとよいです。何が起き、その背景はなんだったのか。一連の流れを説明していきます。社会科では口に出して因果関係を整理する作業がとても効果的です。
地図を早いうちに覚えておく
受検間際になっても地図の理解が固められていない子供はよくいます。しかし、それでは地理の分野で失点する可能性が高いです。できるだけ早い段階で、地図の都道府県や県庁所在地を頭に入れておきましょう。地図や各都道府県の特徴については、かるたなどの知育教材もたくさん出ているため、遊びの中でも覚えられます。ぜひ活用してみてください。
- 歴史の流れをきっちりつかんで出来事を年号順に並べ替えられるようにする
- 地図の「都道府県」と「県庁所在地」は早い段階に覚えおく
過去問を通してイメージを固めて
東京学芸大学附属小金井中学校の受検問題は、決して難しくありません。問題集をしっかりやり込めば解けるレベルに設定されています。
国語は、塾や家庭教師の先生にお願いし、記述問題の添削をしてもらってください。
算数の図形では複雑そうに見える問題も出題されますが、落ち着いて手順を踏めば解ける内容です。まずは単元ごとの要点をしっかり頭に入れておきましょう。
理科では作図の問題が出題されています。書けるように仕上げておくことが大切です。
社会では、起きた出来事を時代順に並べ替える問題がよく出ます。前後のつながりを理解していないと解くのは難しいです。加えて年号も覚えておいてください。図版や図表、写真などからの出題が多いので、説明だけではなく資料にも目を通しておくことをおすすめします。資料を見たときにすぐ内容を思い出せるようにしておきましょう。
まずは過去問をやり込んでください。どんな問題が出るのか、どういう時間配分で解くのか、どういう優先順位で見直しをするのかなどのイメージトレーニングをします。問題の難易度が高くない分、ケアレスミスひとつが合否に関わります。時間ギリギリまで見直しをするようにしましょう。