家庭教師は大きく二つに分けることができます。ひとつは大学生によるアルバイト、もうひとつは「プロ」と呼ばれる社会人家庭教師です。目的や予算によって、どちらに依頼すべきかは変わってきます。この記事では、大学生アルバイトとプロ家庭教師の違いを紹介していきます。
大学生アルバイトとプロ家庭教師。それぞれのメリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットを以下に紹介します。
大学生アルバイトの家庭教師のメリット。費用が安く親しみやすい
「大学生アルバイト」と聞くと、信頼は置けるのか、大丈夫なのかと不安になる家庭もあるかもしれません。しかし、大学生アルバイトにも優秀な家庭教師はたくさんいます。なにより、若いお兄さんやお姉さんはその気安さから子供になつかれやすいです。とりわけ、反抗期になると、親の言うことより若い先生の言葉のほうがまっすぐ届くことはよくあります。
「最近、親の言うことに耳を貸さず勉強しない」あるいは、「学習習慣をつけるために家庭教師をお願いしたい」という場合、大学生アルバイトは適任でしょう。
プロ家庭教師のメリット。実績があり無駄のない指導
プロ家庭教師と聞くと、費用が高いイメージがあります。実際には、費用はバラバラですが、実績ある先生を選ぼうとすると高くつくのは確かです。費用が高い先生の多くは、それだけ高い実績を誇っています。
「なんとしても子供を中学受験に受からせたい」と考えていて、そのためであればある程度の予算を確保できるという人は、受験専門のプロ家庭教師をおすすめします。ぜひ、実績や評判を調べて、わが子にぴったりの家庭教師を探してください。
受験合格のための近道はなんといっても過去問の分析です。過去の出題傾向を先生が把握し、無駄なく勉強するためのカリキュラムを作成することで、生徒を力強くリードすることができます。「子供の行きたい学校はどこか、そのためにはどれだけ実力が不足していて、いつまでにどの問題をどのレベルまで解けるようにすればよいのか」を見極めるのが先生です。マンツーマンですから、みっちりと受験合格に向けて指導を行ってくれるでしょう。
大学生アルバイトの家庭教師のデメリット。ピンからキリまで玉石混交
大学生アルバイトの場合、先生が「はずれ」の可能性も念頭に置いておいたほうがよいでしょう。大手の家庭教師派遣センターでも質が担保されるわけではありません。家庭教師派遣センターにはそれぞれの方針があり、選考基準も方針に準じます。大手であっても「とりあえず先生数を確保したい」と考えている家庭教師派遣センターだと、困った家庭教師が混ざっていることもあります。
具体的には、指導力がいまいちだったり、礼儀作法を心得ていなかったり、遅刻魔であったり、というケースです。加えて、就職や進学の事情で指導期間が限られていることが多いため、注意しなければなりません。こちらが「わが子の受験を最後までお願いしたい」と考えていたとしても、それが実現するかどうかはわかりません。
また、学生の場合はテストや就活の予定で、特定の時期に振り替えを行う傾向があります。その辺りも理解した上でお願いすることをおすすめします。
プロ家庭教師のデメリット。費用が高くなりがちなので、予算確保を忘れずに
プロ家庭教師は、塾や学生アルバイトの家庭教師に比べ、費用が高くつきやすいのが難点です。もし、プロ家庭教師にお願いするのであれば、かかる費用をあらかじめ計算しておくとよいでしょう。受験本番が近づいてくると、授業回数を増やす家庭も多いです。追加料金が払えるよう準備しておいてください。
もし、途中で「お金がなくなって頼めなくなった」となると、必然的に別の教育サービスへと切り替える必要性が出てきます。しかし、塾とは異なり、子供の受験勉強の進捗を把握できているのは、基本的にその先生ひとりだけです。もちろん家庭教師派遣センターにも書面などで報告は行っているでしょうが、現場にいる先生はあくまでひとり。そのひとりを失うのは大きな痛手です。土壇場で「やっぱり払えない」ということがないようにしましょう。なお、大学生アルバイトにしろ、プロ家庭教師にしろ、家庭(親)への進捗状況のフィードバックはリスク軽減のためにも重要です。
- 費用が安い傾向にある
- 子供になつかれやすい
- 親の言うことより言葉がまっすぐ届くことがある
- 「はずれ」の家庭教師を引く可能性がある
- 指導力不足や遅刻をする等の礼儀作法がなっていないケースがある
- テストや就活の予定に左右されることがある
- 高い実績を誇っていることが多い
- 過去問の出題傾向を把握した無駄のないカリキュラムが用意されている
- 生徒を力強くリードし受験合格に向けて指導を行ってくれる
- 費用が高くつきやすい
- 最初から最後までを受け持つことが多いため受験勉強の進捗を把握しているのは担当一人になることがある
- 途中で費用が払えなくなった際にスムーズに別の教育サービスへ切り替え難い
プロ家庭教師の定義は、事前に確認が必要
「プロ家庭教師」と聞くと、当然ながら「たしかな実績のある実力派家庭教師」を連想します。しかし、実はプロ家庭教師とひと口に言っても、家庭教師派遣センターによってその定義はさまざまなので、よく説明を読んでみてください。
中には社会人であれば一括して、「プロ家庭教師」と呼んでいる家庭教師派遣センターもあります。逆に、難関中学にたくさんの合格者を出し、たしかな実績に裏付けられている先生だけをプロ家庭教師と認定している家庭教師派遣センターもあります。
たとえば、プロ家庭教師を探しているのに、実績について詳細が載っていない先生がいたとします。その場合は、一度問い合わせてみて、「この先生の指導経験はどうなのか」と質問してみましょう。
実績のある家庭教師ばかりを集めている家庭教師派遣センターは、クオリティの高さを売りにしているため、実績をこと細かに公表しているところが多いです。そうした家庭教師派遣センターでは、先生を利用者が指名できるシステムをとっています。有名な家庭教師にお願いできたら安心間違いなしでしょう。もちろん、費用は高くつきますが、ハイクオリティな先生だけを集めているので、授業自体は満足度が高いものとなります。
家庭教師の交代サービスを活用しよう!
同じ費用を払うならよりよい先生に来てほしいもの。交代サービスについて以下、詳しく紹介します。
大学生アルバイトもプロ家庭教師も大半は交代無料。注意点も
塾で集団授業を受けていて「この先生の授業わかりにくい」「この先生とは相性が悪いから代わってほしい」と思っても、変更することは容易ではありません。塾を選ぶデメリットはその塾が「外れ」だった場合に「先生の交代」を申し出ても難しいという点でしょう。個別指導ならいざ知らず、集団授業となると、個人の希望だけで先生が変わるケースはまれです。そうなってくると、転塾というリスクを覚悟しなければなりません。
しかし、家庭教師は違います。合わないと思えば即座に無料で交代を依頼できるのです。もちろん、小規模の家庭教師派遣センターの場合、交代に回せる人数は限られてしまいますから、無限に変更できるわけではありませんが、それでもサービスがあるのとないのとでは大違いです。それに、大手であれば選択できる先生の幅は広がります。
納得いくまで先生の交代を繰り返せば、わが子にふさわしい先生が見つかるでしょう。多少手間はかかりますが、「大学生アルバイトは質が悪いからイヤだ」と頭ごなしに決めつけるのではなく、「よい先生に当たるまで交代しよう」と考えるのがよいでしょう。
ただし、プロ家庭教師の交代の場合、同じ価格帯での選択肢は限られるかもしれません。価格には開きがありますし、人気の家庭教師から別の人気の家庭教師へと変更しようと思っても、先生の予定が埋まっている可能性があります。その点、学生アルバイトは価格帯に差がないところが多く、代わりも見つけやすいです。
学生アルバイトやプロ家庭教師の交代回数をなるべく抑えるには
家庭教師の大きなメリットとして、教師の交代が可能な点を挙げましたが、そうはいってもずっと交代を依頼し続けるのはなかなか大変ですよね。子供だって早く落ち着いて一人の先生に教えてほしいはずです。
そのためには、最初にこちらの要望を家庭教師派遣センターに伝えて、あらかじめ先生を絞り込んでおいてもらうことが大切です。
多くの家庭教師派遣センターでは基本的な条件に基づいて、先生を選定します。性別や学歴、担当科目といった基本情報以外で、具体的な希望があれば、最初にできる限り詳細を伝えたほうがよいでしょう。
指導方法についても同様です。たとえば、「自己肯定感を伸ばす指導ができる人にお願いしたい」と最初に伝えておけば、いきなり子供を抑えつけようとはないでしょう。要望を伝えておけば、先生の指導方針も変わってきます。求めているサービスとの齟齬を減らすことができるのです。
特に指導の型を持たない学生アルバイトは、要望を柔軟に受け容れてくれるケースが多いでしょう。プロ家庭教師の場合は、有名な人ほどやり方が確立されている可能性があります。あらかじめ家庭教師派遣センターからよく話を聞いておいてください。
相手がプロの家庭教師でも、交代サービスを使う際に遠慮は不要
「一度来てもらった先生をお断りするのは気が引ける」という家庭があります。しかし、サービスとして組み込まれている以上、遠慮はいりません。仲介手数料を払うのはこうした事態にもスムーズに対応してもらえるからだと考えましょう。
相手が学生アルバイトであっても、プロ家庭教師であっても、「家庭のニーズと違う」と判断したなら交代依頼は速やかにしたほうがよいです。遅くなればなるほど、子供にしわ寄せがいきます。交代に関して家庭からなにかを説明したり謝罪したりする必要はありません。家庭教師派遣センターに一任してください。
- 集団塾では先生の変更は望めない
- 基本的に家庭教師では何度でも交代可能だが回数が多いと子供に負担が掛かる
- 事前にできる限りの詳細情報を伝えて先生を絞り込んでおいてもらう
大学生アルバイトやプロ家庭教師との個人契約ってどうなの?
家庭教師派遣センターを通さず、学生アルバイトやプロ家庭教師と契約するのはどうなのでしょうか。以下紹介します。
名の知れたプロの家庭教師は個人で生徒を募集している場合も
昔から家庭教師は個人契約のニーズがあります。なぜなら、家庭教師派遣センターを通すと、仲介手数料をとられるためです。実質、先生の取り分は半分以下なんてケースも珍しくありません。「だったら、最初から個人契約にしておけば安上がりだ!」と考える家庭があるのも無理のないことでしょう。
とりわけ、プロの家庭教師で名が知れた先生であれば、「うちもぜひお願いしたい」と考える家庭は多いはずです。名前の知れた先生には実績がありますし、ホームページで生徒を募集している場合もあります。家庭教師の掲示板でよくわからない匿名の先生にお願いするよりはるかにリスクは低いです。その分、費用はかかりますが、経済的に余裕があるのなら検討する余地はあるでしょう。
ただ、有名な先生が必ずしもわが子にとって最適な先生とは限らないのが、教育の難しいところです。家庭教師の場合はマンツーマンなので、指導力だけではなく性格的な相性がやる気を大きく左右するのです。つまり、有名な先生にお願いする場合でも、「わが子と合わなかった場合はどうするか」というセカンドプランを考えておく必要があります。
掲示板での家庭教師探しはアルバイト・プロ問わずハイリスク
プロ家庭教師にしろ、学生アルバイトにしろ、匿名性の高い掲示板で先生を探す場合は注意しなければなりません。中には一部仲介をしてくれる掲示板もあります。しかし、第三者が全く介入しない掲示板から、直に家庭教師を依頼するのは非常にハイリスクです。
代表的なリスクとして、「相手の身元がよくわからない」「合わなかった場合に交代ができない」「なんの保証もない」という点が挙げられます。個人間のやりとりでは、相手の学歴や実績が本当かどうかもわかりません。いくらでも詐称することができるからです。
以前、ベビーシッターのマッチングアプリで非常に悪質な事件が起きましたが、子供と接する仕事において人材の選定は疎かにしてはならない作業だといえます。
大学生アルバイトとプロ家庭教師は目的と予算で使い分けを
学習習慣を定着化させたり定期テストを乗り切ったりするためであれば、大学生アルバイトの家庭教師がよいでしょう。一方、難関中学に受かりたいのであればプロ家庭教師をおすすめします。
ただし、プロ家庭教師は、実績があればあるほど費用が高くなりがちです。あらかじめ、どのぐらいの費用をかけられるのか、予算を固めてから検討するのがよいでしょう。また、プロとひと口に言っても定義はさまざまなので、家庭教師派遣センターに確認が必要です。個人契約の場合は、有名なプロ家庭教師を選ぶようにし、匿名性の高い掲示板での直接契約は避けましょう。
相性がよく指導力ある家庭教師にめぐりあえれば、大幅な成績アップを目指すこともできます。ぜひわが子に合った家庭教師を見つけてあげてください。