初めて家庭教師を家に招くとなれば、緊張して当然です。「できる限り準備をしなくちゃ」と肩に力が入る人も多いことでしょう。この記事では、初回授業をむかえる前に必要な準備や知っておきたいポイントについて紹介します。
初回授業前に準備ってそもそも必要?
特別な準備は必要ありませんし、家庭教師側も家庭側に特別な準備を求めてはいません。しかし、受け入れる側の家庭には、見られたくないものがたくさんあるでしょう。
共働きの多い時代ですから、掃除は週一程度の家庭が多いでしょうし、子供の散らかしたものを片付けるところまで手が回らない家庭がほとんどです。
実際、リビングが散らかっている家庭、シンクに食器があふれている家庭などを見てきました。しかし、だからといってネガティブな印象は皆無です。忙しい家庭においては当然のこと、よくあることですから、家庭教師側も神経質な性分の人でなければまず気にしません。
ただ、割合でいえば、初回だけはきちんと片付けている家庭が多いです。先生と親しくなってくるにつれて、「まあうちはこんな感じだから」と素を見せてくれる家庭が増えてきます。
初回授業前に家庭で準備しておきたいこと
あらかじめ、家庭で準備しておきたいことは以下のとおりです。
子供の集中力を削がないために、おもちゃだけは片付けて
リビングがどれだけ雑然としていても、授業にはなんの差し障りもありません。ただ、授業をする部屋で、子供の手にとれる範囲におもちゃが転がっているのは、授業の進行を妨げる恐れがあります。特に小さい子供の場合は要注意です。目に入ってきたものに、つい飛びついてしまいます。
たとえ、難関中学を目指す子供であっても、低学年からバリバリ勉強に集中できる子供はまれです。隙あらば席を立とうとする子供は少なくありません。そうした行動を抑制するためには、なるべく刺激のない環境が最善です。机の上や机の周りにおもちゃが転がっている状態は、学習向きではありません。埃や日用品の散乱は問題ないですが、おもちゃだけは片付けておくことをおすすめします。
ちなみに、初回授業に備えて、芸能人のポスターを家中から撤去したり、趣味のグッズを隠したりする家庭もありました。なぜその秘密を把握しているかといえば、子供がしゃべるからです。ちゃんと口止めをしておかないと、「昨日、お母さんが家中のアイドルのポスター剥がしてたよ!」といった具合に悪びれなく報告されてしまいます。
気になるようならお茶やお菓子の準備を
「家庭教師に出すお茶やお菓子ってどうしたらよいんだろう。そもそも出すべき?」と悩んでいるご家庭もあることでしょう。基本的に、お茶やお菓子はいりません。「お茶やお菓子を出さなければならない」という規約はまずないためです。ただ、暗黙の了解で多くの家庭が先生に、お茶やお菓子を出しています。
実際、子供と先生がお茶をする時間が、よいリセットタイムとして機能するのは事実です。家庭教師の費用を負担する家庭側としては、おやつタイムにもどかしさを感じることもあるでしょうが、集中力を維持するためにも息抜きは欠かせません。
最初の打ち合わせ時に先生の食べられないもの、嫌いなものをヒアリングしてみるとよいでしょう。アレルギーなどがあっては大変です。ちなみに「お菓子はいらない」と固辞する先生もいます。
たとえば、家庭教師を同日にいくつも掛け持ちしている先生は、お菓子を断る傾向にあります。先生に断られたら、遠慮せず子供の分のお菓子だけ用意してあげてください。低学年の子供はまず間違いなく、お菓子タイムで学習モチベーションが上がります。
お菓子を出す上で意識したいのは、「食べやすく時間がかからないお菓子」を選ぶということ。食べるのに時間がかかるお菓子だったり、やたらと量が多かったりすると、責任感のある先生は「早く食べ終えて次の勉強に移らなきゃいけないのに」と内心焦ってしまいます。それにダラダラ食べていると、子供の気分を切り替えるどころか、そのまま遊びモードにシフトしかねません。
お菓子はできればひとつにすることをおすすめします。気を遣っていろんな種類のお菓子を盛り合わせてくれる家庭は多いです。食べるのが速い子供であれば問題ありませんが、量を抑えたほうが授業の妨げにはならないでしょう。食べ過ぎて眠気に襲われても大変です。
ちなみに、共働き家庭やシングルの家庭では、仕事中に家庭教師に来てもらい、保護者が立ち会わないケースもあります。そういう家庭では、子供にその日出すお菓子や飲み物をあらかじめ伝えているところが多いです。
- 掃除に力を入れる必要は無い
- 集中力を削ぐ可能性のある「おもちゃ」などは必ず片付けておく
- 「食べやすく時間がかからないお菓子」を用意して子どもの息抜きの時間をつくる
家庭教師派遣センターを通して知っておきたいこと
家庭教師派遣センターを通して家庭教師について知ることも大切です。
子供の性格や注意点、要望などを伝えておく
子供がどういう性格なのかを家庭教師派遣センターを通して、あらかじめ伝えておくとよいです。性格を細かく報告しておけば、相性のよい先生選びに役立ちます。加えて、その子に合った指導法を考える上でも有益です。
たとえば、叱られてやる気を出す子供もいれば、心が折れてしまう子供もいます。家庭教師は授業回数を重ねる中で、子供がどういうタイプなのかを把握していくものです。そのため、最初のうちは慎重かつ手探りです。親から見た子供の性格や接し方のコツなどの注意点を初回授業前に伝えておくと、スムーズでしょう。
特に集中力が切れやすい子供については、対処法の共有が必須です。集中できず、すぐふらふらしてしまう子供は、注意される回数が多くなります。それで態度が改まる子供ばかりではありません。むしろ、注意されることで自信を失ったり恐怖心を覚えたりして、余計に集中できないなんて悪循環に陥ってしまうケースが少なからずあります。対処のコツや「こうしてほしい」という要望があったら、事前に伝えておきましょう。
ちなみに、多動気味の子供で、あまりにもすぐ席を立ってしまうのであれば、椅子の前脚2本に太めの輪ゴムをつないだ橋をかけておくという手があります。足の裏をそこに乗せておくと、軽く弾むため刺激になり、立ち上がりたい衝動を多少なりとも抑えることができるのです。輪ゴムによる手作りではなく、しっかりした素材を使って商品化されているものもあります。
学習内容については、「どこを中心にやってほしいのか」をはっきり伝えておきましょう。苦手単元の強化をリクエストする場合、初回から苦手な箇所ばかりをやらせると子供がうんざりしてしまう可能性があります。苦手単元の克服は、子供の様子を見ながら、臨機応変に対応してもらうとよいでしょう。
費用の詳細を確認しておこう
費用の詳細を確認しておきましょう。入会費以外には授業料と交通費が基本的にかかります。授業料は振り込みでも、交通費は別途手渡しのところが多いです。交通費の支払い方法を家庭教師派遣センターに確認しておきましょう。
家庭から現金で渡す必要がある場合は、おつりが不要なよう当日までに用意しておいてください。家庭教師を依頼する際、交通費についてはつい失念しがちです。しかし、徒歩圏内に先生が住んでいるケースはまれなので、ほとんどの場合費用負担が発生します。
乗り継ぎなどで費用がかさむケースもよくあるので、どのぐらいの額までなら負担できるのかを家庭教師派遣センターに伝えた上で、先生を紹介してもらいましょう。
また、先生によっては、ほかの家庭教師先から移動してきたり、学校から移動してきたりとそのときどきで交通費がまちまちになるケースもあります。トラブルにならないよう、金額は一律でよいのか事前に確認しておくとよいです。
見落としがちなのが違約金です。違約金は、早い段階での退会や直接契約へ移行したことが発覚した場合などにかかります。よく規約を読んでおかないと、思いがけず家庭教師派遣センターから高額な違約金を請求されることになりかねません。サービス開始の前に注意して目を通しておきましょう。
家庭教師の人物像や実績を知っておこう
先生がどんな人であるかを知っておくことは重要です。優しい先生なのか厳しい先生なのか、得意な分野はなんなのか、これまでに家庭とのトラブルはなかったか、など根掘り葉掘り聞いておきましょう。
実績も大切です。たとえば、中学受験を目指す子供には、やはり実績のある先生を選ぶ必要があります。受験指導はなによりもノウハウがものを言うからです。家庭教師を依頼する目的がなにかにもよりますが、高い目標を実現するためなのであれば、価格は高くなってもレベル相応の先生をリクエストするようにしましょう。
なかなか理想に合う先生が見つからない場合は、家庭教師派遣センター自体を変更するのも手です。家庭教師派遣センターによって、得意とする分野が異なることもあります。
「ハイレベルな受験対策を」と考えている家庭であれば、難関校対策に特化した家庭教師派遣センターを選ぶと、よい先生に出会える可能性が高まるでしょう。
振替や追加授業にどの程度対応できるのかを質問しよう
振替や追加授業にどの程度対応できるのかも大切なポイントです。家庭教師派遣センターに規約がある場合はよく確認しておきましょう。
また、規約があったとしても、実際お願いしたときに臨機応変な対応ができるかどうかは、先生のスケジュールにかかっています。
たとえば、人気講師で予定が詰まっている場合、振替がだいぶ先になってしまったり、追加授業を断られてしまったりということもあり得るのです。
振替や追加授業を頻繁にお願いすることになりそうなら、あらかじめ家庭教師派遣センターを通して確認してもらいましょう。
無料の家庭教師交代サービスの仕組みについて聞いておこう
だいたいどこの家庭教師派遣センターも、無料で家庭教師を交代してくれます。家庭教師は、なんといっても生徒との相性が大切です。そのため、もし「なんだか子供と相性が悪い先生だなあ」と感じたら、早めに次の先生を手配してあげましょう。申請すればすぐ交代できるのかどうかをあらかじめ家庭教師派遣センターに確認しておくとよいでしょう。
初回授業の見学をしたい場合は可否を確認しておこう
初回授業を見学したい場合は、可能かどうかを家庭教師派遣センターに問い合わせておきましょう。可能なら最初の15分程度でも様子を見ておくとよいかもしれません。
ただ、親が見ていると先生はもちろん、子供も身構えてしまいがちです。まるまる授業を見学するのではなく、ある程度で引き揚げたほうがよいでしょう。
ちなみに、家庭教師派遣センターによっては、無料の体験授業サービスを用意しているところもあります。先生を決めるための授業ですから、親の見学許可をお願いしてみるのもひとつの手です。
- 子供の性格や注意点と要望
- 交通費の支払い方や一律かどうかも含めた費用
- 家庭教師の人物像や実績と親子の目的に合っているかどうか
- 振替や追加授業への対応可否と家庭教師交代サービスの仕組み
- 親が初回授業を見学することの可否
初回授業前に打ち合わせる内容を書き出しておこう
初回授業前は、先生との事前打ち合わせの時間をとる家庭教師派遣センターが多いです。最初になにを伝えるべきか質問しておきたいことはないか書き出しておいてください。初回授業は、子供の今後のモチベーションを左右するという意味でも重要です。
先生が子供に合った授業ができるよう、何をどんなやり方で教えてほしいのかはっきりと伝えましょう。家庭教師派遣センターを通してすでに伝えてあることでも、再確認するよい機会です。
掃除は最低限でOK。初回授業前に家庭教師派遣センターと情報共有を
掃除や片付けは、勉強する部屋の中におもちゃが転がっていなければ大丈夫です。あとはどれだけ散らかっていようと授業に差し障りはないので、見られたくない範囲に絞って片付けをすることをおすすめします。
お菓子やお茶の準備は義務ではないので、「出したほうがよい」と思う場合のみ用意しましょう。ぱぱっと食べられるものを基準に選ぶとよいです。
初回授業前には、家庭教師派遣センターとしっかり情報共有をしておいてください。要望ははっきりと具体的に伝えましょう。初回授業の前に受けられる、無料体験授業サービスがあれば、積極的に活用するとよいでしょう。
可能であれば授業を一部見学させてもらって、授業のレベルがどの程度か、子供との相性はどうかなどをチェックしてみてください。
先生と初めて会うときには、伝えたいことや質問しておきたいことを取りまとめておきます。家庭教師派遣センターにすでに伝えてあることでも、一度直接確認しましょう。