中学受験を控えた子供は、夏休みであっても受験勉強に追われる日々です。この時期、学校からも夏の宿題が課されますが、「面倒くさいなあ」と事務的に片付けているケースが大半でしょう。
とりわけ、自由研究のような大きな課題は時間がかかります。この記事では、夏休みの自由研究は時間がかかって負担だという親子に向けて、おすすめの自由研究を紹介します。
中学受験をする子供が夏休みの自由研究に挑む際の注意点
中学受験をする子供が夏休みの自由研究に挑む際には、丸一日集中してやれば終わるもの、もしくは勉強と並行して進められるものを選ぶべきです。連日、受験勉強の手を止めなければならないようなテーマは避けましょう。できれば自由研究を通して、受験範囲の苦手箇所の克服につなげられるとよいです。
中学受験をする子供におすすめ。受験科目の自由研究
以下、中学受験をする子供の役に立つ、受験科目に関する自由研究を紹介します。
中学受験対策になる国語の自由研究
国語はレポート系の自由研究に向いています。この機会に知識を増やしましょう。
調べてみよう文字の分類。形声文字・会意文字・象形文字・指示文字
漢字を「形声文字・会意文字・象形文字・指示文字」に分けて、一覧表を作成します。単純ですが、受験に必要な知識に直結しますし、覚えるよいきっかけになるでしょう。それぞれの字について解説できるようにしておけば、間違えやすい受験範囲をひとつカバーできたことになります。
体にまつわる言葉を集めてみよう(慣用句や熟語)
中学受験で最終的にネックになるのが語彙力です。直前になって「どうしよう! 語彙力ってどうやって増やせばよいの?」と嘆く子供は多いもの。せっかくなら、夏休みのうちに言葉数を増やしましょう。
大きな紙に人間の全身を描いて、余白に体の部位が含まれる慣用句や熟語を書き出していきます。量が多すぎて難しいという場合には、体の部位を絞り込みましょう。たとえば、顔だけに限定してもかなりの数の言葉が存在することにびっくりするはずです。
気に入った言い回しを集めてみよう
短期間にできるものではないので、勉強と並行して進めていきましょう。問題集やテキストの物語文や説明文から、気に入った文章をピックアップしていきます。
たとえば、景色を表現するのに美しい比喩を用いている箇所、ついクスッとしてしまうようなユーモアのある表現などを集めて、書き出していってください。どんなところがよいと思ったのか、感想も添えるとよいでしょう。よい文章に意識的に触れることで文章力の向上につながります。国語では記述問題も多いため、文章力は必須です。
夏休み中に覚えた熟語の一覧を作ろう
こちらも短時間でできるものではありません。その代わり、勉強ついでに進めていくことが可能です。テキストや問題集から、その日わからなかった言葉を書き出して意味を調べていきます。
コツコツ取り組めば、百個以上、新しい言葉を覚えることが可能です。言葉の知識がそれなりにある子供だと、「わからない熟語なんて、そんなにたくさん見つからないよ」という場合もあるでしょう。
そういうときは、わからない熟語と同じ漢字を使った熟語を辞書で調べて、書き出していきましょう。新しい言葉を覚えられるのはもちろん、その漢字がどういう意味合いで使われる漢字なのかをより深く理解できるはずです。
熟語しりとりを作ろう
熟語でしりとりをしてみましょう。最後の漢字が次の頭に来るようにします。かなり難易度の高いしりとりなので、知っている言葉だけでつなげようとしても難しいかもしれません。新しい熟語を覚えながら、できるだけ長く続けてみましょう。
図書館で絵本に挑戦。小さい子向けって本当?
読書をするとなると、普段本を読み慣れていない子供は身構えてしまいがちです。まして、何冊も読むのはハードルが高いでしょう。
その点、絵本であればすらすらと短い時間でたくさん読むことができます。まずは図書館に行き、気に入った絵本を数十冊読んでみましょう。その中で、わからない言葉があれば随時書き出して調べます。
意外と絵本の中にも難しい言い回しは隠れているものです。「絵本でわからない言葉がある」というのは、小学生にとっても悔しいことですから、確実に覚えようという気持ちにつながります。
夢日記をつけてみよう。文章力を身につける練習
夏休みの日記は定番ですが、ここはあえて夢日記をおすすめします。夢は不条理なものです。不条理なものを人に説明するのは、日常的な内容を説明するより骨が折れます。できごとの前提を共有できないからです。
中学受験では記述問題を解く機会も多いですから、これを機にわかりやすい文章を書く練習をしてはどうでしょうか。
- 調べてみよう文字の分類。形声文字・会意文字・象形文字・指示文字
- 体にまつわる言葉を集めてみよう(慣用句や熟語)
- 気に入った言い回しを集めてみよう
- 夏休み中に覚えた熟語の一覧を作ろう
- 熟語しりとりを作ろう
- 図書館で絵本に挑戦。小さい子向けって本当?
- 夢日記をつけてみよう。文章力を身につける練習
中学受験対策になる算数の自由研究
算数には自由研究のイメージがないかもしれません。以下のようなテーマ設定はどうでしょうか。
家の中にある図形を調べてみよう
家の中にあるものに使われている図形を調べて、分類していきます。円・長方形・正方形・立方体などを探して書き出していきましょう。いろんな図形が組み合わさってものが作られていることが理解できます。図形と聞くだけで身構えてしまう子供は多いですから、日常の中に図形があふれていることを知りましょう。
家の中にあるモノの表面積・体積を調べてみよう
上の研究を一歩進めたものです。家具や文房具などの表面積・体積を計算して、まとめていきます。これまでに習った図形の公式を活用してください。図形は算数の中でも苦手とする子供が多い単元です。挑戦してみるとよい練習になります。
計算問題を夏休み中毎日続けたらどのぐらいまで速くなるか
計算問題の小テストを夏休み中、毎日続けて時間と正答率をグラフ化していきます。問題数が少ないと変動がわかりづらいので、一日20問ぐらい解いてみるとよいでしょう。実力がどうついたのか、グラフで追いかけましょう。
一日で終わる内容ではないですが、勉強のついでに進められ、なおかつ学習意欲の向上にもつなげられるためおすすめです。
サイコロで同じ目が出る確率を調べよう。本当に6分の1?
サイコロを何度も振って同じ目が出る確率を調べてみましょう。たとえば18回振ってみて、「6」の目が何回出たのか。36回ならどうか、72回ならどうか、と数を増やして調べてみます。6の倍数で振ると、わかりやすいでしょう。
6面のサイコロ以外にも多面体のサイコロは売っていますから、いろんな種類のサイコロを試してみても面白いです。
- 家の中にある図形を調べてみよう
- 家の中にあるモノの表面積・体積を調べてみよう
- 計算問題を夏休み中毎日続けたらどのぐらいまで速くなるか
- サイコロで同じ目が出る確率を調べよう。本当に6分の1?
中学受験対策になる理科の自由研究
自由研究といえば理科のイメージが一番強いのではないでしょうか。市販の実験器具をわざわざ購入しなくても、できることはたくさんあります。
星や星座をまとめよう。星にまつわる神話も
星の名前は、小難しいカタカナが多いです。加えて色や明るさ、星座など合わせて覚えなければならない要素がたくさんあり、苦戦する子供は少なくありません。
そこで、自由研究をきっかけにして覚えてみるのはどうでしょうか。四季の星座の絵を描き、星の名前や明るさ、色、世界の神話を書き出してまとめます。
暗記をするのに苦労する子供が多いので、自分でまとめると勉強になるでしょう。子供向けの図鑑にはたいてい、ギリシャ神話だけではなく各国の神話も載っています。ぜひ世界の神話の違いにも注目してみてください。
花ってどうやってできているの?分解して調べよう
理科は頭に入れておかなければならない知識が多く、暗記が苦手な子供は後回しにしてしまいがちです。
ここは、実際に花の作りを調べてみることで記憶に残すようにしましょう。ピンセットを使って花びらを一枚一枚とって、おしべめしべ、がくをバラバラにして並べてみます。黒い用紙を使うとわかりやすいでしょう。写真を撮って、観察してわかった形や数を記録します。
人間の体。食べ物が排泄されるまでの流れを覚えよう
紙をつなげて大きくし、人体の絵を描きましょう。口からお尻までは管でつながっています。食べ物が口から入り、出ていくまでどんな道のりを経て出ていくのかを、書き込んでみてください。それぞれの臓器がどんな働きをしているのか、覚える助けになります。
人間の体の中にどれだけの長さの管が収まっているのか、視覚的に知ることもできるでしょう。子供向けの人体図鑑はたくさん出ています。参考にすることをおすすめします。
調味料を入れて沸騰するまでの時間を調べよう
水に調味料を溶かして沸騰するまでの時間を調べてみましょう。中学受験で定番なのは塩ですが、いろんな調味料で試すと面白いです。沸騰した際の温度も計って記録しておくとよいですね。これは道具も少なく台所ですぐに始められるため、簡単に挑戦することができます。
わが家の周りに生息する昆虫と体のつくり
近所の公園で、バッタやセミをつかまえましょう。つかまえたものは写真を撮ります。短時間でつかまえた昆虫だけだと種類が少ないので、子供向けの昆虫図鑑で仲間についても調べます。それぞれの生態について詳しく載っているので、わかりやすくまとめましょう。
昆虫の体のつくりは実際に見ると記憶に残ります。撮った写真を貼って、周りにそれぞれの名称を書き込んでいくとよいでしょう。
- 星や星座をまとめよう。星にまつわる神話も
- 花ってどうやってできているの?分解して調べよう
- 人間の体。食べ物が排泄されるまでの流れを覚えよう
- 調味料を入れて沸騰するまでの時間を調べよう
- わが家の周りに生息する昆虫と体のつくり
中学受験対策になる社会の自由研究
社会は調べ学習に適しています。ただまとめるだけでは子供も面白くないので、テーマを身近に感じる要素を盛り込むとよいでしょう。具体例としては以下のとおりです。
野菜・果物・名物。おいしい地図帳を作ろう
全国各地の野菜や果物や名物を地図帳に書き込んでいきましょう。都道府県名を覚える上でも役に立つ作業です。余裕があれば県庁所在地も書き入れてください。実際にスーパーに行って、どこの産地のものが置いてあったのかの情報も添えると、より記憶に残りやすくなります。
料理の材料をレポートしよう
先ほどと同じく、産地を覚えるための自由研究です。献立を考えて、子供自ら買い物にチャレンジします。どこの産地の野菜や肉を使うのかを全て書きだし、料理に挑み、できあがったら写真をとってください。あとは、材料の産地から、ほかにどんな野菜や果物を出荷しているかも挙げるとよいでしょう。
自分の町から歴史を知ろう
自分の住んでいる町にある寺社仏閣について調べて、レポートにまとめましょう。教科書に出てくるような有名人が関わっているかもしれません。そうでなくても、つながりをたどれば思いがけない結びつきが見えてくるはずです。
自分の町にはどんな地図記号が使われている?
自分の住んでいる町の地図を見て、使われている地図記号をピックアップしてみましょう。具体的にどの場所にどんな記号が使われていたのかを書きだすとよいです。
写真を撮っておいて、地図記号と合わせて紹介できるようにすると見栄えがします。地図記号も、覚え直しても忘れてしまう子供が多い単元なので、改めて学ぶ機会を作ることは大切です。
- 野菜・果物・名物。おいしい地図帳を作ろうも
- 料理の材料をレポートしよう
- 自分の町から歴史を知ろう
- 自分の町にはどんな地図記号が使われている?
受験科目以外のテーマも。ベストな体調を研究
受験科目以外で自由研究をするなら、「体調管理」の自由研究はどうでしょうか。受験勉強では、体調管理がとても大切です。夏休み中、毎日何時に起きて何時に寝たか、その日の体調はどうだったかの記録をつけていきます。
「この時間眠くなった」「集中できたのはこの時間」などといった日ごとの様子をまとめてください。一日では終わらない研究内容ですが、自分の体調がベストになる就寝時間と起床時間を把握できれば、受験の大きな強みとなります。あわせて睡眠に関する代表的な研究内容も紹介できるとよいでしょう。
自由研究は面倒くさいだけじゃない。中学受験の役に立つ!
中学受験準備であわただしい中、自由研究を並行して進めるのは大変な労力です。できるだけ、中学受験対策に活かせるテーマに設定し、時間の無駄を削ぎましょう。
ついつい得意な分野にばかり目が行きがちですが、こういうときこそ苦手な分野を克服するチャンスです。普段、机に向かって勉強しているのとは、違うアプローチができます。
なお、家庭教師サービスを利用している家庭であれば、先生にサポートしてもらうのもよいでしょう。家庭からの依頼であれば、家庭教師は通常の勉強以外の内容であっても、臨機応変に対応してくれます。